会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2000年09月発行 第76号 DDKだより

巻頭言:協同金融の拡充で商工ローンの姿勢転換を迫ろう。

理事  亀井 賢伍       
        
  
 


 高利、過剰貸付、不法な取り立て、とりわけ根保証悪用による保証人追求など商工ローンの悪徳商法が一昨年来社会問題化しました。
 ゆき過ぎた部分に一定の是正はなされました。
 被害防止には、商工ローン業者への規制が不可欠ですが、根本的には、商工ローンに頼らなくても良い金融環境づくりこそ必要です。
 DDKでは10数年前から、年2回会員に対し1社500万円以内で年末・盆資金の融資(多数転貸方式)を行っています。
 この蓄積にたって銀行借入がままならぬ中小企業者向けの金融チャネルとして、協同組織による多数転貸を提言します。

******提 言******

 各町村にある商工会等が照応する協同組合〔注〕をつくる(既存組織があれば活用する)
 さし当っては、年末・盆資金に限り一社300万円以内(地域の実情により500万円以内)の短期資金の多数転貸を行う。
 原資は、政府系の組織金融機関である商工中金をメインとし、必要に応じ信用金庫などの地域金融機関からの借入で賄う。
〔注〕組織形態は、事業協同組合に限ることはないが借入主体となり得る組織とする。いくつかの商工会等がまとまって一つの組合としてもよい。

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 成否の鍵は①事務局に人を得ることと②防衛積立金制度です。
 仲間うちの、顔の見える金融に徹する限り精度の高い定性情報を共有しているという特質が審査に生かせます。
 銀行にとっても組合を経由することにより個々に対応するより省力化とリスクの軽減が図れるという利点があります。
 仮に、新たに500の組合が1組合平均3億円の転貸を行うとすると全体では1,500億円の規模となります。
 商工ローン業者にとって脅威です。
 市場原理から、金利引下げ等条件をよくせざるを得なくなります。さらに、利用者との共存共栄をめざす正しい経営姿勢に転換しない限り生き残れなくなるでしょう。