会報誌(DDKだより)

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2026年06月発行 第386号 DDKだより

金融・経営相談:「1億円の壁」とはどういうこと? 2026(令和8)年度税制改正の富裕層課税強化とは

Q.よく「1億円の壁」という言葉を耳にしますが、どういうことですか?2026(令和8)年度税制改正で対策がとられたということですが具体的にはどんな内容ですか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.「1億円の壁」とは、簡単に言うと所得が上がると所得税の税負担も上がっていくのですが、1億円を超えると所得税の実効税率が低下するという税制上の不公平な現象です。
 グラフを見ると、太い折れ線は所得税の負担率を表し1億円を超えると下がっていきます。(グラフ)
 その原因は。所得税は超過累進税率を採用しているので、表1の速算表を見ると所得が上がるにつれて税率も上がります。この累進税率は総合所得(給与所得、事業所得、不動産所得など)に対しての適用です。これに対して、株式の譲渡益や配当金などの「金融所得」は、所得の金額の多寡にかかわらず一律15.315%の分離課税となっています。
 グラフの細い折れ線を見ると、所得に占める株式譲渡所得の比率が1億円を超えるとぐんぐん増えているのがわかります。このように1億円を超えると「金融所得」の割合が高まるので、税負担率が低下することになるのです。
 2026(令和8)年度税制改正では、「極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置の見直し」と題して改正されました。2023(令和5)年度改正で導入され、その見直しとなります。
 改正前は、所得が3.3億円を超える場合22.5%の税率で計算した税額と従来通りの税額との差額を納税だったものが、改正後は1.65億円を超える場合30%の税率で計算した税額と従来通りの税額との差額を納税する改正となりました。2027(令和9)年分からの適用となります。確定申告不要の配当や株式の譲渡も対象となるとのこと。(表2)
 富裕層への課税強化は世界的な潮流で、欧米諸国ではすでに導入されていますが、あまりうまくいっているという話は聞きません。今後の動向に注目することにしましょう。