会報誌(DDKだより)
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2026年06月発行 第385号 DDKだより
巻頭:何歳まで働くつもり
石田 仁
何歳まで働くつもりか具体的数値を記入してもらう方式で、70歳以降も働くと回答した人が初めて40%を超えたそうだ(日経朝刊3月1日、全国18歳以上有権者対象)。全体の平均値は68歳まで働きたいとの結果。
日本人の勤労意識からと言うより、わずかな退職金と乏しい年金で物価高騰の世に放り出されては、老後は安心して生きていけないと感じているからではないでしょうか。
現行法では、定年の法的年齢は60歳のまま。その先、65歳までは継続雇用や定年延長等で会社に雇用義務を課しています。ここでリタイアすれば、ほぼ年金だけの生活になる。70歳までの就業機会の確保は努力義務となっていますが、70歳を超えての義務は特に定めがありません。サラリーマンは年金だけでは生活できず、働き続けることに。
他方、自営業には何らの法的保護もない。定年が無く、当然退職金も無い。40年支払った国民年金は月に7万円ほどにすぎない。サラリーマンと同じく、現役時代にたくさん貯め込まないと老後生活が不安になる。自営業には定年がないから働き続けられる間は、とにかく働き続ける。何としても預貯金や年金に手をつけず生活費を稼ぎ出し、老後に資金を残さなければならない。不足分は私的年金で補う。
生活に余裕がなくなり、働き続けられるまで働こうと考える人々が多くなっている。
オンラインで受講している某大学の講座資料を読み、日本経済の激変に驚く。00年と2025年の比較。GDPは1.18、賃金は1.13倍とほとんど伸びがない。世界のGDPに占める比重は14から3.5%に激減し、政府総債務残高(対GDP比)は、136から230%に増加。円ドル為替相場は107円から149円と円安が進む。マクロの視点からは、日本経済は完全に埋没の危機に陥っているとの指摘。ただ、この間、企業は経常利益を3倍以上獲得し、設備投資を控え、累計内部留保は18倍も貯め込んだ。社員への分配はわずかにすぎない。庶民の生活の視点からは賃上げもあり名目可分所得はわずかに増加したが、エネルギーや原材料の高騰を受け、00年に比し、全世帯消費支出はむしろ減少している。食費と光熱費が著しく上昇し、衣類費と小遣い、教育・娯楽費が縮減した。こんな生活実態が急速に国民の中に浸透している。米価高騰の影響は重い。
数年前に、老後の資金に2000万円必要だと報道されたが、もはや夢物語。他の資料をみても、預貯金額の中央値は、70歳単身世帯で500から800万円前後。預貯金のない世帯も2から3割いると言う。いつの間にか財布は縮んでしまったのである。