会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2025年12月発行 第379号 DDKだより
金融・経営相談:国が勧める「早期経営改善計画策定支援事業」
Q.コロナ対応借入れ後、正常化の途上にありますが、昨今の人手不足、原材料の高騰などから資金繰りも安定せず抜本的な経営改善を模索しています。経営改善への国の支援策を紹介ください。今月の相談員
中小企業診断士 伊藤 勝
A.国が認定した専門家である認定経営革新等支援機関(*)の支援を受け、資金計画やアクションプランなどの経営改善計画を策定する場合に、専門家に対する支払い費用の3分の2を国が補助する「早期経営改善計画策定事業(通称:バリューアップ支援事業)」があります。
環境変化等に十分対応できていない中小企業等が、売上の減少や借入の増大に直面している中、本事業では資金繰りの安定や抜本的な収益力の改善に向けた中小企業の取り組みを支援します。
本事業は資金繰りの管理や自社の経営状況の客観的把握などの基本的な経営改善に取り組む中小企業の資金繰り計画やアクションプランといった内容の経営改善計画を策定する際、 その費用の3分の2(計画策定費用:上限15万円。伴走支援:上限5万円)を補助することで中小企業の早期の経営改善を促すものです。
策定された計画を金融機関に提出することを通じて取引関係を再構築し、自己の経営を見直す契機とすることによって、早期の経営改善・事業再生の取り組みを促進できます。
本事業は、各地の「中小企業活性化協議会」が取り扱い窓口となります。
以下の指針を参考にしてください。
【経営改善のためのアクションプランの検討手順】
1.企業の現状把握
基本情報(具体的な事業内容等)、財務面、商流(材料の仕入れから最終消費者に至る迄の流れ)や業務プロセス(社内の業務工程ごとの具体的な内容と流れ)等の内部環境の把握。企業の属する市場、立地、競合等の外部環境の把握。
2.経営課題の抽出
企業の特徴、問題点等を検討し、経営改善に向けて取り組むべき課題を抽出する。
3.解決対応の方向性方法等の検討
抽出した経営課題に対して、その解決・対応の方向性を検討。
4.アクションプランの作成と周知徹底
社員を含め社内での周知徹底。
5.定期的なモニタリング
実行状況を確認することが重要。計画通り進んでいない場合は、原因を確認し、対応策を検討し、速やかに実行。
(*)認定経営革新等支援機関
商工会や商工会議所、金融機関、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定経営革新等支援機関として国に認定されています。