会報誌(DDKだより)

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2025年11月発行 第378号 DDKだより

年金相談:年金受給者が退職したとき

Q. 66歳男性、年金を受給しながら働いていますが、来年3月末日に退職します。年金について自分で何か手続きは必要でしょうか? 

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.相談者は老齢厚生年金を受給しながら在職中で社会保険・雇用保険に加入し、老齢基礎年金は繰り下げ申し出中です。
 まず、退職後に会社が被保険者資格喪失の手続きをします。喪失後、1か月以内に社会保険に加入する再就職をしないときは在職していた間の被保険者期間を含めて老齢厚生年金額が再計算され、退職した月の翌月分から支給されます。これを退職時改定といい、相談者の場合は本年10月から来年3月までに納付した厚生年金保険料をもとに年金額が改定されます。なぜなら相談者の方は65歳以上の方のため、令和4年4月以降、すでに年1回9月に老齢厚生年金額が改定されているからです(在職定時改定)。なお、60歳以上65歳未満で厚生年金被保険者であった人が退職した場合も同じく退職した日から1か月以内に社会保険に加入する再就職をしないときは、年金額が再計算されます。退職後1か月以内に社会保険に加入する再就職をしたときは年金額の再計算は行われません。
 一方、老齢基礎年金については、繰り下げ申し出中ですので、このまま繰り下げを続けるか退職を機に支給開始を希望されるなら請求手続きが必要です。「老齢基礎年金支給繰下げ請求書」を提出(請求)した月の翌月分から増額された老齢基礎年金額を受け取れます。
 雇用保険については、退職後、会社等から離職票が届きましたら、住所地を管轄するハローワークで手続きをしてください。65歳以上の退職は、一時金の支給のため、年金額との調整はありません。