会報誌(DDKだより)
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2025年06月発行 第373号 DDKだより
金融・経営相談:「103万円の壁」の見直し いつからどう変わる?
Q.「103万円の壁」の見直しが論議されていましたが、2025(令和7)年度の税制改正で、具体的にどう変わるのか、いつから適用になるのか教えてください。今月の相談員
税理士 平石 共子
A.そもそも「103万円の壁」は、年収が基礎控除48万円と給与所得控除55万円をあわせた103万円を超えると所得税が課税となるので、年収を103万円以下に抑えようとする「働き控え」が問題となっていました。また、サラリーマンの妻の場合、夫の配偶者控除が受けられなくなるというもう一つの問題がありました。
今回の見直しで、給与所得控除、基礎控除の額の見直し、配偶者控除の要件が見直され、所得税がかからないラインは、基礎控除95万円と給与所得控除65万円の合計160万円となります。
一方、配偶者控除の適用要件は配偶者の給与所得控除後の金額48万円が、今回の改正で10万円引上げられ58万円となりました。その結果、「103万円の壁」は、給与所得控除65万円と58万円の合計、すなわち「123万円の壁」に変わります。
ただし、年収が123万円を超えても、配偶者特別控除の適用があり年収160万円以下であれば、夫の方では所得税も住民税も全く同じ金額になります。
ところが、妻の方は所得税の課税は160万円以下が非課税、しかし、住民税は110万円超から課税。加えて、社会保険の取り扱いは、「106万円の壁」は現在廃止の方向で話が進んでいるようですが、「130万円の壁」はそのまま。住民税の負担と社会保険の負担をどう考えるか。年収の壁の問題は一筋縄ではいかないようです。
これらの改正はいつから適用になるかというと、2025年12月1日施行、毎月の源泉徴収事務については11月までは従来通りに行い、今年の12月の年末調整で適用となります。