会報誌(DDKだより)

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2024年01月発行 第356号 DDKだより

巻頭:昇龍の如く、みなさまの飛躍の年に


齋藤 正広

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、ハマスの襲撃に端を発したイスラエルのガザ地区への大規模攻撃、終わりの見えないウクライナとロシアの戦争、相次ぐ熱波到来と国連事務総長の「地球沸騰」時代突入宣言など、人類が立ち向かわなければならない多くの課題を私たちに突きつけた1年となりました。
 はたして今年はどのような年になるのでしょうか?
 遡れば、34年前の冷戦終結により世界の人々はアメリカ主導で平和な時代が訪れるだろうと期待を膨らませました。しかし、現実には、行き過ぎた市場原理主義、金融資本主義の浸透により、国家間、企業間、国民間の格差はますます拡大し、紛争は絶えることなく、地球の環境破壊も大きく進行してしまいました。さらに、ChatGPTに代表される生成AIの急速な進化は、これらのテクノロジーの活用いかんでは格差拡大をさらに加速させてしまう危険性も指摘されています。
 また、日本の経営環境を見ますと、昨年はインボイス制度の導入、今年は電子取引の電子保存の義務化が始まるなど、人材や資金が不足する中小企業にとっては大変な試練が続きます。国税庁は、DXの推進を行政の効率化とサービスの向上が目的だと言っていますが、これらはいずれも納税者の監視強化と税務調査の効率化に資するものです。近年は、税制が経営者や国民への丁寧な説明がないままに改正が行われ、税理士さえ混乱するほどまでに複雑化してしまいました。納税者の権利を守るべき立場である税の専門家として、まだまだ働かなくてはならないと実感しています。
 このような中で、強者が自らの「正義」を振りかざして富や権力を集中させる社会に、多くの人々が息苦しさや怒り、疑問を持つようになってきました。LGBTの人々の権利擁護の動きや、グローバルサウスの国々が欧米や中国、ロシア等の大国の意向に簡単にくみしない姿勢をとり始めたことなどは、社会のあり方や世界の力関係が大きく変化する兆しといえるでしょう。
 さて、辰年は陽気が動いて万物が振動するので、活気にあふれ、形がととのう年だといわれています。多くの人々が前を向いて少しでも一歩を踏み出せば、やがて大きな力となり、よりよい社会の実現へとつながっていくことでしょう。
 会員の皆様のご多幸、ご発展を心よりお祈り申し上げます。