会報誌(DDKだより)

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2022年07月発行 第338号 DDKだより

年金相談:在職定時改定とは

Q.65歳までの継続雇用が終了し、更に70歳までフルタイムで勤務しようと考えています。4月改正の在職定時改定は影響しますか?

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.令和4年4月、老齢厚生年金保険の受給者であって、同時に厚生年金保険の被保険者でもある65歳以上70歳未満の方に対し、新たに在職定時改定が新設されました。これまでは退職等により厚生年金保険の資格を喪失するか70歳になるまでは、納付した老齢厚生年金保険料は年金額に反映されなかったところ、改正後は在職中であっても年金額が改定されます。在職中とは厚生年金保険の被保険者であることをいいます。
 毎年9月1日を基準日として、前年9月から当年8月までの被保険者期間が年金額に反映され、翌月10月分から年金額が改定されることになりました。実際の改定後の支給は12月となります(偶数月に前2か月分)。
 令和4年10月分については、65歳到達月から令和4年8月までの厚生年金保険に加入していた期間も含めて、年金額が改定されます。ただ、65歳以上の方の在職老齢年金の仕組みは変わりませんので、改定後の年金額が増額されたことによって支給停止額が発生または増えることもあります。65歳以上の方の在職老齢年金の仕組みとは、給与と年金月額の合計額が47万円を超えると老齢厚生年金がカットされる仕組みのことです。給与には月額換算した賞与を含みます(※)。
 今後、毎年、前1年間の納付保険料が反映されるため、受給できる年金額も毎年変わることになります。70歳までの就労を努力義務と課した状況を鑑みれば、高報酬である方や老齢厚生年金の繰り下げの申出をされている方を除いて、働いた結果がすぐに年金額に反映されるので、高齢期における就労意欲がより高まるのではないでしょうか。


(※)給与(総報酬月額相当額)=【標準報酬月額】+【その月以前1年間の標準賞与額の総額/12】