会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2022年05月発行 第336号 DDKだより

金融・経営相談:税務調査の手続きの基本を改めてチェックしよう

Q.わが社は10年以上税務調査を受けたことがありません。その結果、税務調査を経験した経理担当者が一人もいなくなってしまいました。改めてポイントを教えてください。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.これは御社だけの問題ではありません。10年前の2011(平成23)年11月、国税通則法の改正によって、税務調査についての手続きが具体的に定められました。
 そして、2013(平成25)年1月より税務調査の手続きが大きく変わったのですが、税務署は手続きについての研修に時間を割いたため、調査件数が減りました。
 そして、ここ2,3年は新型コロナウイルスの影響によって、調査は大幅に減少しています。
 税務職員も国税通則法が改正された時の経験を知らない職員が増えていますから、受ける側がしっかりと基本を身に着けておくことは大切なことです。

 さて、税務調査の手続きは3つポイントがあります。
1.「事前通知」が原則。無予告調査は一定の要件に該当した場合に限られ、例外として規定されました。
2.調査終了時の手続きを整備。終了通知は書面で、また調査結果の内容説明が義務付けられ、税務職員は修正申告の勧奨ができると規定されました。
3.帳簿等の「提示」「提出」を求めることができると規定。提出された帳簿書類等の「留め置き」ができると規定されました。

 事前通知は、まず日程と調査場所の打合せの電話が入り、その後電話で11項目の事前通知を税務職員から受けることになっています。
 調査終了時については、以前は終了がうやむやになるケースがありましたが、これはなくなりました。
 「提示」はこれですと差し出すこと、「提出」とは帳簿書類等を税務職員に手渡すことを言います。税務調査における質問検査権は、税務職員が質問し検査することができると規定されているので、断ることができません。「留め置き」は、税務職員が帳簿等を持ち帰ることを言いますが、これは断ることができます。
 コピーの求めやパソコンの中身を見せてほしい、データを持ち帰りたいと言われたらどうしたらよいでしょう。これらのことは手続き規定にはありません。「税務調査は納税者の理解と協力を得て行う」、つまり納税者の同意がなければできないことを意味しています。
 もちろん、協力して早く終わらせるということもあるでしょう。基本を知り、臨機応変に対応することです。