会報誌(DDKだより)

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2022年03月発行 第334号 DDKだより

巻頭:平和の祭典とウクライナ危機


河原 八洋

 北京オリンピック、スノーボード女子・ビックエアーの大技に挑んだ岩渕選手(20歳)は斜面で転倒して4位に成りました。ゴール付近で見ていた各国の選手達が一斉に駆け寄り、肩を抱いて、その勇気を讃えました。見ていて胸が熱くなりました。この様な光景は、夏の東京大会でも在りました。スケートボード・パーク女子決勝で岡本選手(15歳)が最後の着地で転倒した時、周りにいた大柄な外国選手達は、すぐに駆け寄り、大技に挑んだ彼女を讃えて、担ぎ上げて退場していった光景を思い出しました。この光景こそが、クーベルタン男爵の精神『国籍の差異を超え、友情・連帯・フェアープレーで、そして勝つ事ではなく、参加する事に意義が有る』の実践だと思います。
 この最中に兵を動かし、世界の注目を得て、事を有利に進めようとしている指導者が居る事も忘れてはならないと思います。
 3月4日から13日まで「北京冬季パラリンピック」が開催されます。
 前回9月号では、夏季開会直前の予想を書きましたが、今回は活躍した選手の結果を報告します。全体では、金13個、銀15個、銅23個で今までで最高の成績に成りました。次に活躍された選手について紹介します。富士スピードウエーで行われた自転車競技で2個の金メダルを取った杉浦佳子選手50歳は、「最年少記録は1回しか取れないが最年長記録は何回でも取れる」と話して、次回も出ることを宣言しています。マラソンでは道下美里選手は、3時間0分(大会新)のタイムで金メダルを取りました。その29分後、8位で四島美代子選手66歳が、足の痛みをこらえて倒れ込む様にゴールし、当日1番の大喝采を受けました。
 大会で最も心を揺さぶられたのは、重い障害のクラスに出場した、最年少女子『山田美幸選手14歳』です。手足で使える機能が有るのは、長さが違う両足のみで、長い左足では斜め外側にキックして、短い右足では真直ぐ後ろに蹴る独自の泳法で50m、100m背泳ぎで『銀』2個を獲得。幼少の頃小児喘息だった美幸さんに、体力を付ける為水泳を勧めたのはお父さんです。美幸さんは初めて水に入って、自分の体を自分で動かせて自由に成ったと思ったそうで、水泳が好きに成り、成田真由美さんの指導も受け、今回の出場となりました。出場を楽しみにしていたお父さんは見る事無く、昨年癌で亡くなっています。山田美幸選手は閉会式で『日章旗』を運ぶ6人に選ばれ、手が無い為車いすのポールに結びつけ運びました。
 4日からの大会では、選手団長の村岡桃佳選手に期待しています。