会報誌(DDKだより)

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2022年02月発行 第333号 DDKだより

巻頭:人が中心の世界に


沼田 道孝

 年が明け、急速なオミクロン株の感染拡大が再び不安とストレスを生み出しています。新聞の主張や社説、テレビの特番等を見ていても、今年の「在り方」、「行方」はと、あるべき方向を示唆しているのですが心に響きません。
 若者たちが声高に叫ぶ温暖化や、危機的な地球環境問題。廃絶のポーズをとる核保有国の核不使用共同声明や、民主主義と権威主義をめぐる米中対立は、世界の分断をあおっています。同時に中国の人権問題の深刻さと米国国内の深い対立も顕在化。
 日本では、憲法違反の「敵基地攻撃能力」の保持について前のめり発言が相次ぎ、コロナ禍の最中、緊急事態条項を憲法に入れよと喧伝されています。「新しい資本主義」の看板だけで、何も目新しいものはなく、その「成長と分配」の意味は、大企業の成長がトリクルダウンで分配されるという従来の仕組み。格差と貧困への解決策を提示していません。
 このような中では、何を基準に経済社会を考える必要があるのでしょう。一人一人の人権をいかに尊重し、その生活を支えることができるか。不安なコロナ禍で少しでも安心できるシステムが必要です。いつでも無料のPCR検査が受けられ、軽症で自宅にいても十分な手当てができる。希望すれば、いつでも宿泊施設が利用でき、病院も必要ならすぐにかかれるように。人基準を持たない政治の姿勢が問われます。
 現下の経済社会は生産性・効率性が求められ、主体が国民ではなく、利益を上げる企業に焦点が当てられています。環境破壊や温暖化が進んで自然や生活そのものが壊されても利益を出すことを当然視。地域、国民、グローバル経済、人が生かされ続けなければならないにもかかわらず、際限のない格差や貧困を生み出しています。
 まず、各人が地域や職場で声をあげながら、人を大切にし、地域社会が柔軟、多様であり続けられることを求めていくことです。そんな新しい年にしていかなければと心から思います。