会報誌(DDKだより)

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1999年05月発行 第60号 DDKだより

巻頭言:ドルの金本位制復帰は必至

顧問  岩井 義照       
     祝経営研究所所長
     近著『どんとこい銀行』
     (サンマーク出版)

  
 


 残念だが今後の企業防衛または個人生活防衛のためには「金」を買うしかない。やがてアメリカは間違いなく金本位制復帰を宣言し、兌換券である新ドルの発行にふみ切る。旧ドルはデノミを行う。デノミであるから自国民には被害はない。しかしこのデノミが仮に1/3(3ドルと新1ドルの交換)であれば世界中の国、企業が持つアメリカへの債権、米国債やドルは7割近くカットされてしまう。この場合最大の被害者は日本政府と日本企業(特に銀行・生保・証券)であろう。日本はアメリカに対し最大の債権国であるからだ。
 アメリカが自国の経済を守るためには、理論的には金本位制復帰とデノミしか選択の余地がない。現在のアメリカの繁栄は世界最大の借金の上に成り立つ完全なバブルの上の繁栄である。アメリカ経済は経常収支と家計の赤字という膨大な新たな「双子の赤字」の上に成り立っている。ではこのバブルはいつ弾けて、アメリカの株とドル(国債)が暴落するのか。世界中の投資家は絶えず高値に対する期待と併せて暴落に対する不安をもって見守っている。それはアメリカ経済が破綻し、ドルは基軸通貨としての地位を失うことであり、世界恐慌の始まりとなる。
 こうした暴落の危機に対しアメリカ政府は当然対策を準備しているはずだ。その対策は1つしかない。債務超過で破綻した国を救う方法は債権放棄しかない。しかし債権国や企業が自発的に債権を放棄するわけがない。とすれば事実上強引に放棄させるしかない。アメリカの株とドルの暴落が始まれば、大統領は直ちに非常事態宣言を下し、一時、国債・ドルなどの支払を停止する。世界の経済混乱を防ぐためと称して直ちに金本位制復帰を宣言して新ドルを発行し、ドルの権威を保ち、紙切れとなった旧ドルのデノミを行う。これしか方法がない。日本政府の姿勢を考えればアメリカの勝手を防ぐ方法はない。残念だが各企業・個人は防衛のためドルや円ではなく金保有割合を高めておくしかない。いま金の価格は史上最低である。これこそ無気味である。