会報誌(DDKだより)

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2018年12月発行 第295号 DDKだより

金融・経営相談:ものづくり補助金の活用

Q.従業員10名の飲料メーカーです。生産力のアップと新商品開発のため、製造工程に自動化機能を備えた最新設備の導入を検討しています。国の支援策である「ものづくり補助金」の制度概要と申請の手順について教えてください。 

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.「ものづくり・商業・サービス支援補助金制度」はここ2~3年、利用が急増し注目されています。申請件数も増加が顕著で、採択される割合も約50%とハードルはやや高いと見られます。
 本事業は、中小企業が取り組む、生産性向上に資する革新的なサービス創出・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の一部を支援する国の制度です。
 以下、製造業のものづくり補助金制度の概要をご紹介します。
1.対象要件は、 
 革新的な生産プロセスの改善を行い、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%(*(1))の向上を達成できる計画であること。
2.主な支援内容は、
 必要な設備投資額の支援として、補助額上限1千万円、補助率1/2又は2/3です。
3.公募期間は、
 毎年2月から1次募集開始、2次公募は8月が通例です。本制度は国の重点施策として存続するものと思われますので、早めの申請準備が肝要です。
4.応募のための申請手順
 申請先は、都道府県にある「中小企業団体中央会」で、所定の「事業計画書」を作成し、必要な資料を添付して申請します。
5.「事業計画書」作成にあたっての要点
<1>生産プロセス改善の具体的取組
 内容の記載
 事業の目的・手段について、今までの自社での取組や経緯、今回機械装置を導入する必要性を記述。課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発・改善内容を図表や写真等を活用し、具体的な目標と達成手段を記載する。
<2>事業の将来展望の記載
(1)改善後の成果が期待される具体的なユーザーや市場規模での優位性・収益性を記載
(2)改善後の成果の見込みについて、目標時期・売上規模・量産化後の価格等を記載
(3)生産プロセス等の改善により、3~5年計画「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する計画の根拠を具体的に記載します。
 以上、申請書作成に手間がかかりますが、申請手続きに当たっては、地元の商工会・金融機関・税理士等「認定経営革新支援機関」が支援してくれますのでお勧めの制度です。

(*(1))「付加価値額」とは、「営業利益+人件費+減価償却費」。計画実施後、最長5年で15%の伸長できれば、年平均3%の達成となる。同様に「経常利益」は5年で5%の向上が必要。なお、最短3年での達成の場合は、各々9%、3%の向上で良い。