会報誌(DDKだより)

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1997年03月発行 第34号 DDKだより

巻頭言:定年制てなんだ

神田 健夫       



60歳定年の実態 
 「55歳定年制」は、55歳までは解雇されないで働くことができる働く者の権利と考えられていました。平均寿命が80歳前後の時代となり、60歳定年制が流れとなり、平成10年から法律で義務化されます。しかし、現実は60歳定年を待たずに働く意欲や能力があっても退職しているのが実態です。それだけでなく、55歳になると仕事は同じなのに賃下げや役職の剥奪等でプライドを傷つけられたり、今も60歳定年を求めて裁判で争っている人もいます。驚いたことには、企業がリストラの方策として、「50歳定年」を選択させることを週刊誌は報じています。 

65歳定年制 

 元アメリカ大統領のレーガンのように「燃え尽きた時が定年」も納得できますが、本来、人には定年はないのではないでしょうか。
 60歳定年だから、後は「年金生活をどうぞ」と言われても、「公的年金だけでは生活できない」との声、60歳で年金の支給が開始されるのは昭和16年4月1日以前に生まれた人で、昭和24年生まれの人からは65歳からとなります(女子は5年おくれ)。だからこそ、この60歳定年と年金支給開始のズレを解消することは急務であり、その解決策は65歳定年を指向することです。 

高齢者は自らサポート 

 日本の経営者、経済学者は高齢化や高齢者のマイナス面だけを指摘していますが、「日本の直面する最大の問題は経済でなく社会的変化だ。15年以内に定年は75歳になる。高齢者が自ら養える柔軟な雇用システムを用意する以外に、選択の道はない」、「高齢者を支える唯一の道は、高齢者が自分で自分をサポートすること、そのためにもっと長く働くことだ」と経済学者P・F・ドラッカー氏は主張しています。この主張を実現することが解決策だと思うのですが。