会報誌(DDKだより)

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2017年06月発行 第277号 DDKだより

巻頭:気がかり


大野 幸則

 冬の晴れた朝、駅へ向かう道、朝日が差し込み、体いっぱいに太陽を浴びながら思わず「ああ、生かされている」と感謝。ところが、前を歩く女性はバックからなにやら小物を取り出し、顔全体を覆うようにして歩き続けました。そういえば、黒いフェイスカバー(?)に黒手袋といったちょっと怖い装いの女性を見かけることが増えてきました。紫外線対策だそうです。私には太陽の恵みを拒んでいるようにしか見えないのですが……。
 「子どもの声がうるさい」と保育園が厭われているニュースを聞きます。他人の子でもかわいいもので、あやしている人を電車の中で見かけます。誰の子であれ、子どもが育つという喜びを本能として持っているのではと思うことがあります。新たな命を、種として喜び迎えてきた悠久の歴史に、憂慮すべき変化が起こっているのでは?
 結婚しない若者が増えていることも気がかりです。あるアンケートでは30%と告げています。恋人がいない、欲しいと思わない若者はその数字をも上回っています。経済的環境が問題とされていますが、それだけではないように思われます。
 ひょっとして、種としての人間・ホモサピエンスが絶滅に向かっているのではとの予感が脳裏をよぎります。特に日本人に、長寿世界一・最先端の高齢化社会を形成している日本に顕著に現れているのではないでしょうか。
 レミング(ネズミの一種)の死の行進の記録映画シーンを覚えている方、いらっしゃるでしょうか。ディズニーのノンフィクション映画でした。増えすぎたレミングが大群で海に向かって突き進み、次々と溺れ死んでいくというものです。これは後で、ねつ造とされるわけですが、今の日本人を見ていると、絶滅に向かって自らを断とうとしているかのように思われてなりません。
 核兵器廃絶・使用禁止の声が世界で起こっているにもかかわらず、唯一の被爆国日本政府は賛成していません。トランプ氏が、核のボタンを押す可能性はゼロではありません。福島の原発事故で、世界では原発の使用に大きな転換が生まれているにもかかわらず、日本は再稼働に前のめりになっています。
 諸々、大丈夫なのだろうか……。杞憂であって欲しいと思うこの頃です。