会報誌(DDKだより)

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2017年03月発行 第274号 DDKだより

金融・経営相談:平成29年分から開始するセルフメディケーション税制とは

Q.今年から従来の医療費控除の特例として、薬局で購入した医薬品についても医療費控除が受けられると聞きましたが、概要を教えてください。


今月の相談員
税理士 平石 共子

A.セルフメディケーションとは自主服薬という意味で、健康の維持や疾病の予防のために、平成29年1月1日以降に、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、スイッチOTC医薬品を購入した場合に、一定の要件に該当すれば医療費控除を受けることができるというものです。
 では、どのような要件に該当すれば医療費控除の適用を受けられるのか、確認しましょう。
(1)適用を受けられる人
 次の取組のいずれか一つを行っている居住者が対象となります。
1)健康保険組合、市町村国保等が実施する健康診査
2)生活保護受給者等を対象とする健康診査
3)予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
4)勤務先で実施する定期健康診断
5)特定健康検査(いわゆるメダボ検診)、特定保健指導
6)市町村が健康増進事業として実施するがん検診
 なお、以上の取組を生計を一にする配偶者その他の親族が行っているかどうかは要件とされていません。
(2)対象となる医薬品
 スイッチOTC医薬品はあまりなじみのない言葉ですが、要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことを言います。2月現在で1601品目あります。
 具体的には、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬・肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬です。厚生労働省のホームページに対象品目一覧が掲載されています。また、一部の医薬品についてはパッケージにセルフメディケーション税制の対象であることを示す識別マークがついています。
(3)医療費控除の計算方法
 1年分の購入額の合計が1万2千円を超えたとき、超える部分(8万8千円を限度)が控除できます。
☆購入額が2万円、課税所得400万円の人の場合
 医療費控除の額
       20,000-12,000=8,000
 所得税の減額 8,000×20%=1,600
 住民税の減額   8,000×10%=800
(4)レシートや領収書の保存が必要
 薬局などスイッチOTC医薬品を扱う店舗のレシート等には、★マークなどをつけるか、対象商品のみを分けて記載されます。適用を受けられそうな人は、保存をしておいてください。
 なお、このセルフメディケーション税制は、従来の医療費控除とどちらか1つしか受けられないので注意が必要です。