会報誌(DDKだより)

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2017年02月発行 第273号 DDKだより

金融・経営相談:企業の健康診断ツール ―ローカルベンチマーク(ロカベン)の活用―

Q.自社でできる簡便な中小企業のための「経営状況分析ツール」があったら教えてください。

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.経済産業省が推奨している中小企業の健康診断ツール「ローカルベンチマーク」が今、注目されています。
 企業経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールとして、企業経営者等や金融機関・支援機関が、企業の状態を把握し、双方が同一目線で話し合いを行うためのもので、活用が期待されています。通称「ロカベン」といわれています。
 ローカルベンチマークとは、主として地域企業のビジネスモデルや生産性を比較検討してローカル経済圏を担う企業に対する経営判断や経営支援などの参考となる評価指標・評価手法です。
 具体的には、「財務情報」(6つの指標*1)と「非財務情報」(4つの視点*2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態を早めに気づき、早期の対策につなげていくものです。
 財務情報に関しては、財務分析入力シートに必要な数値を入力・選択すると、「診断結果」がシート上に6つの指標で計算され、点数が瞬時に算出されます (別表「財務分析診断結果」の一例) 。採点の分析基礎は、帝国データバンクが保有するデータから‘11業種対象7万社のデータが活用されます。
 非財務情報については、「非財務ヒアリングシート」に4つの視点に基づく情報を具体的に記載していきます。
 地域金融機関との取引深耕や経営改善計画作成の際に経営者自ら作成することをお勧めします。
 融資の新たな申込みの際も、この資料を使って交渉に臨むと効果的です。
 ローカルベンチマークツールはウェブサイトからダウンロードします。検索は「経済産業省ローカルベンチマーク」で。利用は無料です。    


*1.6つの指標
(1)売上高増加率(売上持続性)、(2)営業利益率(収益性)、(3)労働生産性(生産性)、(4)EBITDA有利子負債倍率(健全性)、(5)営業運転資本回転期間(効率性)、(6)自己資本比率(安全性)
*2.4つの視点
(1)経営者への着目、(2)関係者への着目、(3)事業への着目、(4)内部管理体制への着目


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