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会報誌(DDKだより)

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2016年12月発行 第271号 DDKだより


人事労務相談:営業手当を支払っても時間外手当が必要?

Q.当社の営業マンの給与は、基本給と営業手当で構成されています。入社の際、「営業は営業手当がつくから時間外はないよ」と話していますが、最近、Bから「時間外手当をもらっていない」と質問を受けました。ちなみに、基本給は150,000円、営業手当30,000円です。所定労働時間は160時間で、時間外は毎月ほぼ同じで先月の総労働時間は180時間(時間外20時間)です。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.営業手当を固定残業代とみなしていたのか、単なる手当としていたかの判断です。「当社では営業マンには営業手当がつくから時間外手当はつきません」と口頭表示をしていても明文規定がなければ、原則としては、割増賃金の算定基礎に含まれます。
 以上からBの主張を検討してみます。
 (1)割増賃金の算定基礎に入れなくてよい手当は、教育手当や住宅手当等予め指定された7つの手当であり、営業手当は入っていません(労基法第37条4項、同規則第21条)。原則通り、営業手当に時間外手当を含まないとして計算してみます。
 割増手当の対象賃金は基本給プラス営業手当となりますから、時間単価は(150,000+30,000)÷160時間=1,125円です。従って別途支払わなくてはならない時間外手当は1,125×1.25×20時間=28,125円となります。この場合は、営業手当とは別に、この金額を支払わなくてはなりません。
 (2)次に、30,000円の営業手当を固定残業代として、20時間分相当の時間外手当とみなすと、割増手当の対象賃金は基本給のみとなり、時間外手当は次のように計算されます。150,000÷160×20×1.25≒23,438円。この場合、30,000円との差額分は返還請求できませんし、翌月に回すこともできません。法の規定のない「固定残業制」であり、計算の簡便のため、かろうじて肯定されるにすぎないからです。
 さて、(1)、(2)いずれを採用するかで会社の負担は大きく違います。ご質問では、明文を欠いていますが、営業手当は時間外手当相当との経緯や慣例も推測されます。争いはありますが、職場慣行から20時間分の時間外手当は、(2)のように、営業手当30,000円でカバーされていると考えることもできます。そのように考えれば今回の時間外手当の支払いは不要です。ただし、20時間を超過した場合には支払が必要になります。
 判例は厳格解釈の傾向です。今後は、誤解がないように、口約束ではなく、労働契約書や就業規則等に「営業手当30,000円(ただし、時間外20時間相当を含む)」「20時間超過の場合は別途不足分を支払う」等の規定を入れ、社員自らが自分でも時間外計算ができる明文規定をおくことをお奨めします。
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