会報誌(DDKだより)

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2016年06月発行 第265号 DDKだより

金融・経営相談:空き家対策特別措置法とは?

Q.親から相続した田舎の土地・建物が空き家になっています。最近空き家を取り締まる法律ができたそうですが、どのような内容か教えてください。


今月の相談員
税理士 平石 共子

A.全国の空き家の総数は、平成25年10月時点で820万戸を数え、今後人口減少により全国的な空き家の増加が懸念されています。
 とくに管理が不十分となった空き家は、火災の発生や建物の倒壊、衛生面や景観面での悪化等多くの問題を引き起こすおそれがあります。そこで、空き家対策として平成27年5月26日空き家対策特別措置法が施行されています。
 ただし、国土交通省が基本的な指針を定めガイドラインを策定して、これを受けて401の自治体が空き家条例を制定しているので、自治体により取扱が異なり注意が必要です。
【空き家対策特別措置による処罰とは】
 すべての空き家が対象になるわけではありませんが、特別措置による処罰は次の2つです。
(1)空き家の固定資産税が6倍(200?以下の部分)、3倍(200?を超える部分)となります。
(2)地方自治体が所有者を特定し、強制的に解体を命じることができます。
【この処罰の対象となる特定空き家とは】
(1)倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
(2)著しく衛生上有害となるおそれのある状態
(3)適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
(4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
 このような状態にある空き家をいいます。
【空き家の発生を抑制するための所得税・住民税の特例措置】 
 居住用家屋が空き家となるきっかけは「相続時」が一番多いと考えられます。相続人が使う見込みがない古い住宅が空き家として放置されるケースです。
 そこで、相続人が、相続により生じた古い空き家又はその空き家の除却後の敷地を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円の特別控除ができ、要件に該当すれば所得税・住民税が軽減される措置です。
 
  空き家への取り締まりが厳しくなっていますので、早めに売却するか利用するかの対応が求められています。