会報誌(DDKだより)

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2016年06月発行 第265号 DDKだより

巻頭:お・も・て・な・し 実現しましょう!


青木 正

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの話題が、昨年からマスコミを賑わせています。エンブレム、国立競技場の再設計と聖火台、そしてここにきて、新たに招致のためのコンサルタント料問題が浮上しました。
 でも、大切なことを忘れている気がします。
 「 お・も・て・な・し 」、2013年、国際オリンピック総会で滝川クリステルさんがスピーチしたこの言葉、実際、海外においては残念ながらほとんど報道されなかったのですが、日本ではオリンピック招致の勝因の一つと絶賛されました。辞書をひも解くと、「お客様に対して心のこもった歓待やサービスをすること」とあります。しかし、それをするためには最低限の言葉のコミュニケーションが必要です。
 「英語」について、こんな目を覆いたくなるデータがあります。‘TOEFL’ という世界基準の英語力判定試験で、2013年、日本はアジア31ヶ国中26位、ちなみに韓国6位、北朝鮮9位、中国20位と隣国にも大きく水をあけられています。そして特筆すべきは、‘Speaking’という‘英語を話す力’の点数がなんとアジア最下位だったという現実です。
 初めて日本を訪れた欧米人からは、「日本は世界の先進国なのに、駅、タクシーなどの交通機関、レストランやカフェなどの飲食店で、英語表示はあっても、英会話が通じなくて困った。」との意見が多数あるようです。実際、私も毎月1往復以上は乗るJR成田エクスプレスの車中で、車掌さんが欧米人の英語に対応できず困っている時に、“May I help you ?”と英語とカタコトの日本語の話せるアジア系のお客様に助けられる光景を数回目撃しました。
 2020年まで、まだ4年ある、ではなくて、もう4年しかありません。幸いにして、昨今は日本を訪れる欧米人観光客がたくさんいます。今からちょっとだけ苦手な英会話を趣味程度に楽しみながら習って、彼らがもし街中で困っていたなら “May I help you ?”と恥ずかしがらずに声をかける練習をしてみてはいかがでしょう。その1歩から新たなコミュニケーションが生まれ、1回1回の会話の積み重ねで苦手意識も薄れ、話すのが楽しくなってくると思います。
 国際オリンピック総会で公言した「 お・も・て・な・し 」は、日本人に古くから伝わる「こころ」を表していると言われています。それはハコでも、モノでもなく、そして実現する主役は、政府でも、自治体でも、企業でもなく、私たち国民一人ひとりなのですから。