会報誌(DDKだより)

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2016年05月発行 第264号 DDKだより

金融・経営相談:最近創設された「条件変更改善型借換保証」とは―保証協会付借入金の長期1本化、新規融資にも対応―

Q.業歴が15年の食品スーパーを経営。ここ数年間、既存借入金(保証協会保証付き複数口)の返済条件を緩和してもらい、目下経営改善(事業再生)に取組んでいます。計画遂行のための追加融資(新マーケット開発資金)を希望していますが、最近創設の新しい借換保証制度とはどんな内容ですか?

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.本年3月から全国の信用保証協会による資金繰り支援で、新たに創設された「条件変更改善型借換(リスケ改善借換)保証制度」について以下ご説明します。
1.制度の目的
 経営者に事業改善の意欲があるにもかかわらず、返済条件の緩和を行っていることにより前向きな金融支援を受けることが困難な中小企業を対象に、?既存の保証付き融資を新たな保証付き融資に借り換え、?真水(ニューマネー)の追加融資を可能とし、企業存続のため資金繰りを支援するもの。
2.資格要件
(1)信用保証協会の保証付き既往借入金残高があること。
(2)その既往借入金全部又は一部について返済条件の緩和を行なっていること。
(3)金融機関及び「認定経営革新等支援機関」(*<1>)の支援を受け、事業計画の策定(*<2>)とその実行に努め進捗報告が必要なこと。
3.利用者のメリット
(1)現事業を存続させながら、経営改善に向け新規事業等のための新たな真水(ニューマネー)を希望している企業には朗報です。
(2)従来の借換保証制度より保証期間がより長期(従来10年が最長15年に)になること。
(3)複数借入金を1本化し、経営状況に合わせた返済条件への見直しにより、返済負担を軽減し資金繰りを正常化することができること。
4.その他留意点
(1)返済条件の緩和に至った経緯等の「状況説明書(所定の様式)」の提出が必要となります。なお、この書類には認定経営革新等支援機関の経営支援確約書面が必要です。
(2)保証協会の保証割合は8割です。
8割保証のため、金融機関の「貸し渋り」が懸念されますが、経営改善(事業再生)の熱意が金融機関に伝わるよう最善を尽くすことが肝要です。
 顧問税理士に相談し、本制度を活用して活路を開きましょう。

(*<1>)「認定経営革新等支援機関」とは
税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識や実務経験により、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」により、主務大臣の認可を受けた経営革新等支援業務を行う者(金融機関、税理士等)。
(*<2>)事業(改善)計画の策定に要する費用およびフォローアップの費用については、国から補助金があり、負担は少なくて済みます。