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会報誌(DDKだより)

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2015年11月発行 第258号 DDKだより


人事労務相談:年俸制でも時間外給与を支払わなくてはいけないか

Q.月額報酬12か月分と賞与分4ヶ月分を合計し、16か月分を支払う年俸制を採用していたところ、社員から「時間外割増賃金を支払って欲しい」と言われました。会社としては、時間外割増賃金も含めた年俸制と考えていました。どんな対応をすればよいでしょうか。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.労基法(第41条2号)は厳格に管理職等を勤務時間や休日の原則の適用から除外しているのであって、年俸制社員を除外しているのではありません。年俸制社員でも、同法の管理職に該当しなければ時間外割増賃金等は発生します。深夜割増も除外できません。
 判例も「使用者と労働者の間に、基本給に時間外割増賃金等を含むとの合意があり、使用者が本来の基本給部分と時間外割増賃金等とを区別することなく、これらを一体として支払っていても、基本給に含まれる割増賃金部分が結果において法定の額を下回らない場合においては、これを同法(労基法37条)の趣旨に違反するとまでいうことはできないが、割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できないような方法による賃金の支払方法は同法に違反するものとして無効」(大阪地判平成14.5.17)としています。
 次に、時間外割増計算をする際の算定基礎給与から、家族手当等と並んで賞与が除外されていることから(労基法第37条4項、労基則第21条)、12か月分の給与だけで時間外の算定基礎にすれば残業の時給単価や標準報酬月額が低くなると誤解している点があります。
 結論から言うと、事案の年俸制は、賞与の支給額は確定しているので、割増賃金の計算基礎となる月額報酬は、16か月分の年俸を12で除することになります。通達は、「割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金の一つである『賞与』とは支給額が予め確定されていないものをいい、支給額が確定しているものは、『賞与』とみなされないとしているので、年俸制で毎月支払部分と賞与支払部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与は上記『賞与』に該当しない。したがって、賞与部分を含めて当該確定した年俸額の算定の基礎として割増賃金を支払う必要がある」(平成12年3月8日基収第78号)と。
 結局、今後は、毎月の給与に時間外相当分がいくら、または、何時間分含まれているかを明らかにすることが必要になります。
 以上から、未だ現行法では、一般の社員に対して、年俸制は避けるべきです。
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