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会報誌(DDKだより)

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2015年03月発行 第250号 DDKだより


巻頭言:民主主義の定着を考える

富塚 孝

イスラム国に日本人が人質にとられ、無残にも殺害された。イスラム国という呼び方は国家として存在していると感じさせるからと日本政府とマスコミはISIL(アイシル)と呼び方を変えた。政府の人質問題に対する対応がどうだったのかの検証が国会で議論されつつある。ISILは2001年のアメリカで起きた同時多発テロへと突き進んでいったイスラム圏の過激派集団の一派とみる考えもある。もともとはイスラエルとアラブの民族紛争に根源があり、紀元前に始まる歴史がある。イスラム教を信じる多くの人々が武装闘争を支持するとは思えない。彼らもまた過激派集団の犠牲者である。
 この事件で感じたことは、一国の代表者の発言(言葉)の重大さである。殺害された二人の日本人の冥福を祈ることは当然だが、安倍首相は、拘束されたことが分かっていたと思われるときに中東を訪問し、ISILと戦っている国々に資金援助すると演説したのである。人道支援が真の目的であることは相手には伝わらなかった。ISILは日本を敵国とみなした。すでに日本はISILを敵とする国の仲間であることをネットで発信していたからだ。そこへ資金援助を表明したから敵となるのは当然である。人を殺すことをなんとも思わない連中にどう言葉を選び、伝えるかということは難しいが充分な吟味を加える必要があったのではないか。過激派集団であってもその行為に都合のよい理屈を並べ立てるのだから、悪用される言葉は使わないことが賢明だ。
 安倍首相は施政方針演説で「戦後以来の大改革」に取り組むと述べた。その中身は解釈改憲にあわせて明文改憲、集団的自衛権行使容認を受けた安全保障法制の整備、国会議員の定数削減、JA全中の指導・監査権廃止、TPPの早期妥結などなどである。
 国民の意見は様々だろう。しかし、昨年末の総選挙では「消費税10%への引き上げ延期と次回の増税決定」選挙だと語り、改憲やTPP、農協改革などは争点ではないかのようであった。「戦後以来の大改革」を安倍内閣の大方針とするなら総選挙の時に公約に掲げて、国民的議論をすべきではなかったか。
 戦後70年、日本に民主主義が定着したかどうかを考える年でもある。
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