会報誌(DDKだより)

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2013年05月発行 第228号 DDKだより

金融・経営相談:でんさいネットで取引はどう変わる?

Q. ここ10年で受取手形が減ってファクタリング契約による売掛金の回収が増えています。今年の2月から手形に代わる電子記録債権がスタートしたとのことですが、ファクタリングや手形との違いは何ですか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.電子記録債権とは、手形・振込に代わる新たな決済(支払)手段として今年の2月18日にスタートしたものです。2005年12月から法務省、経産省、金融庁で検討が始まり法律を整備して創設されました。全国銀行協会が100%出資して立ち上げた会社「でんさいネット(通称)」が運営するのですが、法人や個人事業者は金融機関を経由して利用します。現在、支払手形を発行している会社は、当座預金を開設している銀行から説明を受けているかもしれませんが、概要を説明しておきます。
まず、支払う側も、受け取る側も、金融機関にでんさいネットの利用申し込みをする必要があります。支払者は、金融機関に支払金額、支払期日、支払相手先などの事項をインターネットバンキングにより、あるいは書面(窓口、ファックス)で申請すると、でんさいネットに債権の内容が記録され、その内容が支払を受ける側の金融機関を通じて、通知されます。そして、支払期日に支払者の口座から引落され、相手先の口座へ振込みされます。支払期日は7営業日超から1年以内となっています。
手形との違いは、支払う側からすると、手形の発行事務がなくなり印紙税もかかりません。郵送の手間も省けます。手形と振込の支払い手続きを1本化することができます。受け取る側は、ペーパーレスになるので手形の管理がなくなり、銀行に取り立てに出す必要がなくなります。手形の場合は割引や裏書譲渡は額面金額に限られますが、でんさいの場合は、必要な金額だけ割引や譲渡をすることができます。いいことづくめのようですが、手形と同様に期日の管理は支払う側も受け取る側も重要なことは言うまでもありません。
ファクタリングとの違いは、中小企業は受け取る側がほとんどで、ファクタリング会社から入金するのですが、すぐに入金するか、期日まで待つかは選択になります。すぐに入金を選ぶとファクタリング会社に手数料のほか、手形売却損(割引料)を支払うことになります。受取手形のように裏書や割引を必要に応じて実行するというわけにはいきません。
でんさいネットは使いこなせばメリットがありそうです。まずは、しっかりと仕組みを理解することが先決です。