会報誌(DDKだより)

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2013年03月発行 第226号 DDKだより

巻頭言:憲法第96条改正の狙い



亀井 賢伍

自民党が昨年4月決定した「日本国憲法改正草案」のなかに96条の改正があります。憲法は、改正について衆参両院それぞれ総議員の3分の2以上の賛成で発議され、国民投票にかけることを定めています。草案はこの発議要件を2分の1に緩和しようというものです。先月、衆院予算委員会で日本維新の会の委員(前横浜市長)は、96条は改正の手続きの話、中身の議論を進めるため緩和が必要と阿吽の呼吸で後押ししました。
早速、朝日新聞のN編集委員が96条改正は「単なる手続きではない」と諌めていましたが同感です。憲法は国民の人権を守るための「権力を縛る法」です。96条は憲法を改正する場合も、権力者に都合のよい改定が気儘にされないよう厳しい手続きを定めているのです。国家の基本原理の安易な変更を防ぐ知恵として立憲主義の世界的動向に沿ったものです。
 
現政権の改憲スケジュールは、先ず集団的自衛権行使は合憲という閣議決定(解釈改憲)で実をとり、その上で96条に特化した憲法改正を提起し、状況を見て本丸としての9条改正に迫っていくものです。96条改正を軽く考えてはなりません。まさに「改憲のための改憲」です。
 
さらに、同じ会派の委員(前都知事)から「壊憲」論が出されました。かかる非立憲の逆走に対しては、立憲主義の立場にたつものは護憲、改憲の枠を超え共同して阻止する必要があることだけ申し添えます。