会報誌(DDKだより)

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2013年01月発行 第224号 DDKだより

巻頭言:今、改めて問われる協同組合の役割



河野 先

「世界」(岩波書房)11月号に“協同が社会を変える”が特集されている。DDKの前身である「機工同友会協同組合」は、1963年に設立されたので、今年で50周年を迎えるわけだ。高度成長による求人難で、城北地域の工場経営者たちが、協同組合を作って「金の卵」と言われた中卒生たちを集団求人として受け入れはじめた。東北、北海道と各地に奔走した。採用後の定着では、苦情処理対応から始め教育活動に発展した。赤羽職安に職業訓練所を開設し、社長が中心となり自ら教鞭をとったし、運動会も開催された。進学を希望する人には、北豊島工業高等定時制への窓口が開かれた。終業後、飲みたい酒を控え、講義の準備、仕事を早めに切り上げて教鞭をとっていた社長達には、今思い出しても頭が下がる思いだ。
高校進学率の向上などもあって、集団求人が終わったことで、組合員数も減少し、存続が危ぶまれる中、第一経理に政府系金融機関から出向していたI、Kさんの助言と援助で、1987年7月に「第一同友会協同組合」に衣替えし、再出発して今日を迎えている。
今、政治経済の状況は、失われた20年を更新し、3.11の処理も曖昧なまま、原発反対、TPP反対、反貧困、オスプレイ配備反対の声も届かず、政権交代で民主党に期待した国民の願いも旧来の路線に先祖返りし、地域産業の疲弊と空洞化、貧困と格差の拡大が進行している。
国民と地域経済を護るには、地域に根ざした中小企業、農、漁業の存在が大切な基盤だし、民主党政権が閣議決定した「中小企業憲章」を真に生かすことだ。
同じく「世界」紙上で百瀬恵夫氏は「日本においては中小企業単独ではどうしても限界がある。その弱点を克服していくためには中小企業はやはり志を同じくする仲間との『協同組織』が必要であり、効果的に活かす時ではないか」と問題提起されている。
改めて、時代を切り開く先導者として、全国異業種協同組合の利点を生かした連携、仕事づくりに是非挑戦することを期待したい。