会報誌(DDKだより)

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2012年11月発行 第222号 DDKだより

巻頭言:尖閣問題を考える




河原 八洋

『愛国無罪』を掲げてのデモや、破壊、放火、略奪を繰り返すシーンを見ていて、これが4千年の歴史を誇る大国のすることかと思われた方も多かったと思う。
 先日はフィルハーモニー台湾の団員96名がビザを申請したところ、日本人3名が外されたという。同じ日横浜では日本女子オープンゴルフが開催され、優勝が中国のフォンシャンシャン、2位が韓国の朴仁妃であったが、観戦した1万人を超すギャラリーから惜しみの無い拍手が送られた。
 ソフトブレーン創業者の宋文州さんは、ニューヨークタイムス紙やタイムズスクエア―に大広告を出した母国に「恥ずかしい、辞めてもらいたい」と話していた。自国の新聞や天安門広場に意見広告など許さない統治体制を考えての発言だ。中国や北朝鮮のように1党独裁国家は別にしても、世界はまだまだ力勝負で成り立っている事は否定できない。島国日本に居ると、そのことを忘れ世界の考えが我々と同じと思ってしまう。
 今回の問題でも『島を都が所有し島の開発に手を付ければ、問題が大きくなるとみて地主は国に売ることにした』この事は国内では誰もが理解していたと思う。しかしそれが鬼子日本と思っている相手国には全く違った形で伝わった。その辺の状況を丹羽中国大使が事前に発言していたが、中国寄りとの大ブーイングで更迭される結果になった。この点は目先の世論に左右される野田政権と民間人起用に反発する外務省の大きな落ち度である。相手は1党独裁国家で、政権は10年変わらないことを考えればもう少しましな対応ができたと思う。
 わが国では国民性もあり『国民総懺悔』ということで戦争責任を国民の手で明らかにしなかったことが、国旗、君が代、天皇や国賓が行かない戦没者施設作り(私の父も合祀されている)、教育の中でも近代史がきちっと教えられていないことが、国民的団結を妨げている原因である。喧嘩でも殴った方と殴られた方では怨念が違う。周恩来、鄧小平と交わした様に、解決を次世代に先送りして行くしかない。
 日本車の販売が、50%減少しているという。しかし乗っている人が大怪我をさせられるような国状を考えると、まだ5割の人が買ってくれている事の方がニュースである。