会報誌(DDKだより)

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2012年06月発行 第217号 DDKだより

金融・経営相談:国税通則法の改正で税務調査手続はどう変わる?

Q. 国税通則法が改正され税務調査の手続き規定が新しくできたということですが、税務調査の手続きが変わるのでしょうか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.国税通則法は国税に関する基本事項および共通規定を定める法律ですが、今まで税務調査に関する規定はありませんでした。法人税法などの各税法に、「税務署長等は必要あるときは、納税者に質問し、または帳簿書類その他の物件を検査することができる」という規定があるのみでした。
今回の改正で、調査開始時の手続き、終了時の手続きが法制化されました。税務署は今までやっていた慣行を法制化しただけと当初言っていましたが、変わることが予想されます。
まず、税務調査の通知をする際、次の10項目を通知することが規定されました。
① 実地調査を開始する日時
② 調査を行う場所
③ 調査の目的
④ 調査の対象となる税目
⑤ 調査の対象となる期間
⑥ 調査の対象となる帳簿書類その他 の物件
⑦ 調査対象者の氏名および住所また は居所
⑧ 調査担当職員の氏名および所轄官 署(複数の場合は代表者のみ)
⑨ 上記①②は変更が可能であること⑩ 上記③~⑥以外の事項について非違が疑われる場合は、質問検査権等の対象になり、事前通知の規定は適用がないこと
しかも、税理士が関与している場合、納税者本人と顧問税理士双方に通知が行われると規定されています。税務署から税務調査の通知が社長あてに電話で入ることになります。日時や調査の場所は変更が可能なので、通知を受けても即答する必要はありません。税理士と相談して日程を決めればいいのです。
調査終了の時は、①訂正がない場合は、「申告是認」を書面で通知する。②訂正すべき場合は、調査結果の内容(金額と理由)を説明する。③この説明をする際、調査官は「修正申告の勧奨」ができると規定されています。
修正申告を勧められても、もちろん納得できない場合は修正に応じる必要はありません。調査の中身については、「質問し、検査できる」に、「提示・提出(コピーを含む)」が追加されました。しかし、大前提として税務調査が任意調査であることは変わりませんし、提示・提出を求められても納税者の同意がなければ何もできません。なお、この改正は来年1月1日から適用になります。