会報誌(DDKだより)

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1998年06月発行 第49号 DDKだより

金融相談:銀行の「企業努力」とは貸し出し金利の引き上げ

Q. 永年取引している某都銀が、手形借入れの金利を引き上げる、といってきました。自分には「貸し渋り」は関係ない、と自信があったのですが……。各種指標金利はさがっているのに、変な話ではないでしょうか。
  




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今月の相談員 
  参与  田口 良一  
    国民金融公庫出身 
    祝経営研究所次長 


A. ①上昇し出した約定金利
 日銀が5月7日に発表した98年3月の国内銀行貸出約定平均金利(ストック分)は、総合で2.374%、前月比0.001ポイントの上昇となっています。2月も0.008ポイントの上昇を示していました。特に都市銀行の上昇巾が大きく、3月には0.007ポイントもアップしています。
 これらのストック分の数値は、国内銀行(5業態)すべての貸出残の加重平均ですから、遅行指標といえます。新規貸出分だけをとれば、金利はすでに昨年10月から上昇に転じています。つまり、「貸し渋り」が社会問題化したときと軌を一にしていたのです。
②銀行は企業努力と自賛
 公定歩合(0.5%)、短期プライムレート(1.625%)、長期プライムレート(2.4%)などは史上最低水準に張りついたままだし、長期(国債)金利は世界史上でも例がない最低水準を更新し続けているというのに、貸出金利(と預金金利)だけが上昇するというのは理不尽といわなければなりません。
 銀行は、私たちユーザーを細かく格付けランクに分け、取り引き量規模に応じて、マトリックス表に従って、1人1人に対して合理的(?)金利水準を決めて交渉を強めています。銀行内部ではビックバン生き残りのための「企業努力」だと自賛しているのです。
 たしかに金利は相対契約ですから、個別取引交渉で決められますが、しかし金利引き上げ要求の次は貸し出し打ち切り、担保積み増しの要求ですから、私たちユーザーも銀行による一方的な格付けランクの引き下げを防ぐために交渉し、取引銀行の逆選別につとめなければなりません。
 これが私たちの生き残りをかけた「企業努力」なのです。
 


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