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会報誌(DDKだより)

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2011年02月発行 第201号 DDKだより


金融・経営相談:金融派生商品(為替デリバティブ)で経営難?

Q. 取引先の会社が、銀行に勧められた金融商品によって経営が窮地に追い込まれているそうです。中小企業の多くに被害が広がっていると聞きましたが、社会問題化している背景など解説をお願いします。


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝


A.問題になっているのは、為替デリバティブ商品(*①)の一種「通貨オプション」です。
商工リサーチ発表によると、昨年(平成22年)中に「為替デリバティブ」による損失が原因で倒産した企業は26件を超え、円高倒産の3割を占めました。
為替相場によって影響を受ける企業が為替リスクを避けるため通貨デリバティブという金融(派生)商品を金融機関から購入、購入した中小企業が本業は順調なのに急激な円高の影響から金融商品の評価損が膨らみ、倒産がひろがっていると報道されています。
国会でも問題となり(金融庁への苦情件数は400件超)、金融庁はメガバンクなどを対象に「為替デリバティブ」と呼ばれる金融商品の販売方法や取引企業の損失状況などについて実態調査を実施、この度3メガバンクに対し異例の行政指導に踏み切りました。
この指導を受けてメガバンクは損失を被った取引先に対し、資金繰り支援や中途解約の柔軟な対応を講ずるとのことですが、この背景には「購入時にリスクや仕組みの説明不足」、「契約期間が長く中途解約時の多額な違約金」、「融資を申し込んだ時期の銀行の優越的地位利用」など銀行の社会的責任を問う声があります。問題の通貨オプションの販売ピークは04~05年頃。当時は、政府による「金融再生プログラム」で各銀行が不良債権処理に追われていた時期。融資が厳しいなか、なんとか収入を上げようと通貨オプションに傾注したとみられています。
損失を被る危険が高く、複雑な仕組みの金融商品を銀行が販売し経営難に陥っている企業の事例が続出しているといわれる中、本当の救済策が講じられるのか懸念されます。  
不招請勧誘にあたるケースも多発し、日弁連では「適合性原則違反」、「説明義務違反」、「断定的判断の提供による被害」を指摘しています。
知識・経験が乏しい中小企業に対するリレーションシップバンキング(*②)の機能強化が課題となっているなか、銀行の説明責任や営業姿勢が問われています。

*①《為替デリバティブ》
輸出入をしている企業が相場変動に伴う為替リスクを避けるために、あらかじめ一定の価格で外貨を売ったり、買ったりしておくための契約。
外国為替デリバティブには、「通貨オプション」などがあります。

*②《リレーションシップバンキング》
金融機関と取引先の親密な関係を長く維持することにより、顧客の情報を蓄積し、貸し出し等の金融サービスの提供を行うこと。
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