会報誌(DDKだより)

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2010年08月発行 第195号 DDKだより

金融・経営相談:相続税の「小規模宅地等の評価減」の要件が厳格に

Q.財産といっても母が住んでいる自宅と預貯金なので相続税の心配はないと思っていましたが、平成22年度税制改正で居住用や事業用の評価減ができなくなるケースもあると聞きました。どの点が変わったのでしょうか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.相続税は基礎控除5,000万円と相続人一人につき1,000万円を控除できるので、たとえば、相続人が二人の場合は財産の額が7,000万円(5,000万円+1,000万円×2)までだったら相続税は課税されません。
 預貯金の額ははっきりしていますが、不動産については評価することになります。生活の基盤である自宅の敷地や個人の店舗などの事業用の敷地は納税のために敷地を売却することも考えられ、居住の継続や事業の継続をはかれるように大幅な評価減が行われてきました。一定の要件を満たす土地の一定面積については50%または80%の評価減をすることで相続税がかかりにくくなっています。このことを小規模宅地の評価減と呼んでいます。
 
改正のポイント
①「継続要件」が追加されました。事業継続、居住継続とは、相続税の申告期限(相続開始後10ヶ月)まで事業又は居住を継続することをいいます。
したがって、お母さんが亡くなって自宅に誰も住まないようでしたら、評価減は受けられません。
②適用要件は取得者ごとに判定し、要件を満たさない者は減額できません。
改正前は、居住している人もしていない人も関係なく減額ができましたが、改正後は居住している人に限られます。
 
 この改正は平成22年4月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得する土地について適用になります。
 今回の改正で「小規模宅地の評価減」が受けられないケースも出てきます。相続税がかかるかどうかの試算は早めにしておくことが重要です。