会報誌(DDKだより)

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2010年03月発行 第190号 DDKだより

金融・経営相談:返済猶予法」施行2ヶ月、銀行の対応激変の背景は?

Q.返済猶予法(中小企業等金融円滑化法)が施行され、2ヶ月が経過。銀行からの信用低下が心配で条件変更申し込みについて躊躇しています。
 借り手に対する積極的支援へと銀行の対応が様変わりと聞きますが、本当でしょうか?
 金融庁による「金融検査のチェック強化」が銀行の対応変化の背景にあるといわれていますが、解説してください。

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.中小企業の方々からのお話等から、特に大手銀行の対応が激変(返済猶予などの条件変更へ積極対応)しているという実感があります。「中小企業金融円滑化法(*)」の施行に伴って、この法律を実効性あるものとするための「金融庁」による銀行検査強化方針が大きな力となっているようです。
 金融庁の「改定金融検査マニュアル」及び「金融円滑化編チェックリスト(新設)」の中から、銀行激変の契機となっている内容を以下ご紹介します。
1.「与信審査・与信管理、顧客説明」のチェック強化
①債務者に対する経営相談・経営指導及び経営改善計画策定支援等に積極的に取り組んでいるか。
②顧客からの新規融資や貸付条件の変更等の相談・申し込みに対し、顧客の実情にそぐわない担保・保証の要求、貸付条件の提示、金利の引き上げ等を行っていないか。
③貸付条件の変更等行った債務者について、債務者の実態を十分把握したうえで、適切な資金供給を行っているか。貸付条件の変更等の履歴があることのみをもって、新規融資や貸付条件の変更等の相談・申し込みを謝絶していないか。又、迅速な検討・回答に努めているか。
④顧客からの新規融資や貸付条件の変更等の相談・申込みを謝絶する場合や顧客の申し込みと相違する条件で融資する場合は、その理由を具体的に記録・保存しているか。又、謝絶又は資金回収を行う場合には、可能な限り根拠を示して顧客の理解と納得を得るための説明に努めているか。
 など、従来に増して「きめ細かで踏み込んだ検査を実施する」とする金融庁の方針がうかがえます。
2.不良債権扱いとしない措置
 「条件変更を行う際に、債務者が経営改善計画を策定していない場合であっても、貸出条件の変更を行った日から最長1年以内に当該計画を策定する見込みがあるときには、この間不良債権には該当しない扱いとする」との措置
 ぜひ、以上を参考に銀行に改善計画を示して、条件変更の申込みを行って下さい。

*「中小企業等金融円滑化法」の概要
①金融機関は中小企業や住宅ローンの借り手から申し込みがあった場合には、条件変更等(元金の返済猶予、新規融資、借り換え、金利の引き下げ等)を行うように努める(努力義務)。
②金融機関は融資要求に応えるための体制を整備し、取り組み状況を開示する。
③国は、金融機関が開示した情報を取りまとめ公表する。