会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

1998年03月発行 第46号 DDKだより

経営相談:与信限度額とは

Q.  経営リスクを最小限に抑えるためには、相手の経営状態に応じて債権額の上限を設定し、回収の万全を図ることが大切だといわれます。この点での留意点をお聞かせ下さい。 
 




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今月の相談員 
      渡辺 正幸  
    (株)第一経理コンサルタンツグループ 
    経営コンサルタント 
    中小企業診断士 


A.  ご質問の趣旨は、得意先の与信管理ですね。与信管理とは、取り引き先の債権が回収不能になった場合でも、自社の経営が維持できる範囲に債権額を管理することをいいます。この債権額の上限を「与信限度」といい、経営リスクを最小限とするため個別得意先ごとにこの「与信限度」を設定し、回収の万全を図ることを目的にしています。
 さて、それではこの与信管理を適切に実施するための留意点と限度額の設定方法について述べてみたいと思います。
 まず留意点として次の事柄が重要でしょう。
1)得意先別支払状況:契約条件をはずれた支払遅延が発生していないかどうかを確認する。
2)支払状況別原因調査:支払遅延にたいしては、その理由を直接確認する。
3)得意先におけるシェア:得意先における自社のシェアの推移を常に確認する。
4)得意先の財務内容と銀行取引状況の調査:大口の取引先であればあるほど、財務内容については情報の収集に努めることが必要。調査機関の活用も考える。
5)得意先の経営行動30兆円で貸し渋りは変らない30兆円で貸し渋りは変らないの点検:取引先の経営行動の変化、兆候に敏感に対応する。
 次に与信限度額の設定について最も一般的に使われている方法をご紹介します。
 これは、回収日数法と呼ばれるもので、最近数年間の「得意先年間納入金額および経営状況」と「回収日数」を基準とし、与信限度を設定する方法です。具体的には次のように計算します。
 



1.売掛金平均回収日数(売掛金滞留日数)を出す
 
売掛金平均回収日数=365日÷ 前期の売上高/前期末の(売掛金+受取手形残高) 


2.与信限度額(売掛金限度額)を出す
 
与信限度額=得意先への年間売上目標× 売掛金平均回収日数/365日 


※得意先への年間売上目標は、得意先の現状をよく把握した上で設定する。
 


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