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会報誌(DDKだより)

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2009年04月発行 第179号 DDKだより


巻頭言:消費税率引き上げが一人歩き


富塚 孝

マクロ経済学者である中谷巌多摩大学名誉教授が『資本主義はなぜ自壊したのか~日本再生への提言~』を刊行した。100年に一度の経済危機と叫ばれている今、ビジネス単行本のベストセラーだ。中谷氏は構造改革論の急先鋒であった経済学者である。氏はこの本で、行き過ぎたアメリカ型金融資本主義には欠陥があると構造改革論からの『転向』を述べた。氏が著名な経済学者であり、細川、小渕内閣の経済戦略会議議長を務め、小泉内閣が推し進めた構造改革路線への橋渡し役だっただけに影響力は大きい。氏がラジオでこの本のポイントを語っていた(3/14NHKラジオ、土曜朝一番)。
皆さんはびっくりするかもしれませんがと前置きしつつ、「消費税を20%に引き上げ、年収1000万円以下の人に一律40万円を還付する」という日本再生の提言である。昨年、景気刺激策としてブッシュ前大統領が一人600ドルの小切手を配ったそうだが、同じように40万円の小切手を配って、消費税を戻すというのである。さらに、200万円までの買い物には消費税を実質的に非課税にしてその逆進性を解消する。また、消費税を福祉目的税と位置づけ、社会保障を充実すれば北欧のように高負担・高福祉の社会にできるから高い税率でも国民は納得するだろうと提言している。
市場原理主義を批判し、懺悔したというので高い評価を受けていると聞いていたが、消費税20%と40万円の還付に日本を再生する実効性があるのか疑わしい。住宅の新築やリフォームに消費税をかけるなと業界でも言っているのに20%もの消費税をかけるなんてとんでもない。今の消費税も導入するときには福祉目的に使うと言っていたではないか。消費税を3%から5%に引き上げた分だけ大企業減税にまわしてきたのが財界と政府である。それを許し、リードしてきた中谷氏が今までのことを懺悔して消費税を20%にあげて福祉国家にしようといっても支持する気持ちにはなれない。何か消費税率引き上げだけが一人歩きする危険を感じてしまうが。
『懺悔』と『転向』でベストセラーとは今日の根本的な変化がそうさせているのだろうか。
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