会報誌(DDKだより)

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2008年12月発行 第175号 DDKだより

金融・経営相談:「全国緊急」保証と「安定化」保証を比較すると

Q.いま実施されている特別保証は、むかしの「安定化」特別保証と同じものですか。


今月の相談員
田口 良一


A. (1)10月31日から実施されている略称「全国緊急保証」は、市区町村役場から認定書をもらって銀行等へ借入れ申込みします。保証協会は普通保証(部分保証)とはちがって、全部保証しますし、保証料も9本建てではなくて一律(0.7%又は0.8%)です。このように昔の「安定化」とよく似ています。
(2)「安定化」とちがう個所もあります。今回の国の制度は地方の後追いであり、内容も劣っています。全国各地ではより有利な特別制度が先行実施されていますから、借入れ希望者はまず地元自治体の制度融資をよく調べて下さい。
 例えば、東京都では保証料の半額を補助します。埼玉県は借入利息が1.3%です。短期プライムレート(下期金融情報参照)よりも有利です。東京北区の緊急制度は借入金利0%(2年目以降0.2%)、保証料0%です。
(3)保証協会の窓口では、今回は審査をキチッと実施する、と盛んに言います。「安定化」ではにがい思いががあるのです。銀行等のゴミ捨て場にされたのです。
 「安定化」のときは「ネガティブリスト」が発表され、申込者は借入れできるかどうかを自分で判断することができたのですが、今回は発表されません。これが「安定化」との第2の相違点です。
(4)これによって査定(選別)がきびしくなることが心配されますが、政府は「安定化」と同様の損失補填体制を敷いているので、実質的には窓口は広く開かれることが期待できます。
 終わりに一つ付け加えます。政府は累計20兆円の特別保証とは別に、政府系から10兆円の直接融資を実施する、とも発表していますが、実際には既存の制度(セーフティー・ネット貸付)を運用するだけであり、残念ながら10兆円は誇大広告といわざるをえません。