会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2008年11月発行 第174号 DDKだより

金融・経営相談:急増する「貸し渋り」への対応は?

Q.以前から取引している地銀へ新たな保証協会付融資の申込みをした処、「次回の決算状況を見て判断する」といわれ、現段階での融資を拒絶されました。当社は3年前に同様の融資を受け、順調に返済してきました。決算状況は、2年連続赤字が続いていますが、来期は新製品の販売が見込めるので、増収増益の見込みです。保証協会の保証枠も十分あるのに、どうして貸し渋られたのか納得できません。ここで資金調達ができないと事業の継続に支障をきたします。なにか方策はありませんか?


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A. 貴社と同様の貸し渋りが、急増しています。それは、①昨年10月に保証協会保証制度の仕組みが変わり、従来の100%保証から80%の部分保証(責任共有制度導入)となり、銀行が20%のリスクをとることになったことや、②景気後退局面に加え、アメリカ発の金融危機による影響から、銀行は選別融資体制を強化しているからです。
貴社の場合、二期連続赤字の点だけを銀行は問題視(コンピュータによる財務分析に偏重)して慎重になっていると思います。
貴社はこの資金調達に失敗すれば企業存続が危ぶまれる状況にあるとなれば、以下のいずれかの決断をし、万全の構えでのぞまねばなりません。
打つべき対策(1):銀行への粘り強い再交渉を!
①拒絶の理由を納得がいくように説明を求めた上で(金融庁指導 注1)、②貴社の今後の事業計画について自信を持って説明し理解を求めましょう。特に、新製品の販売予定があるので、その証明資料等があればベターです。金融庁金融検査マニュアル(中小企業編)では、現段階での決算等の数値のみにとらわれず、技術力・販売力を評価するよう指導しています。
それでも銀行から納得がいく回答をえられなければ、対策(2)として、金融庁への相談又は苦情申し立て(注2)も選択肢です。①貸し渋り・貸し剥がしホットライン②金融円滑化ホットライン③金融円滑化「大臣目安箱」を活用してみてはどうでしょうか。
以上の努力をしても、銀行借り入れが不可能な場合は、対策(3)として、困難がともないますが、銀行依存しない体質へ切り替えることが必要です。①現在の借入金の返済条件緩和、②取引関係先への支援要請(販売先、仕入先)、③第三者増資を募るなど、外部アドバイザーを交えて知恵を絞りましょう。
なお、国の金融支援策や自治体の超低利融資対策が実施されようとしていますが、保証協会全部保証に戻すなど利用しやすく効果的な支援策が望まれます。
(注1)
「中小企業金融の円滑化への銀行に対する金融庁の取り組み」(抜粋)
①中小企業等の経営実態に即したきめ細かな金融検査の実施
②不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資推進の要請
③与信取引に関する顧客への説明態勢の整備
④「金融サービス利用者相談室」に寄せられた情報を、検査監督に活用
(注2)
【金融庁「金融サービス相談室」へのアクセス】
◆電話03-5251-6811
◆「相談の方法等」は下記のホームページ又は、DDK相談員にお尋ねください
http://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html