会報誌(DDKだより)

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2008年09月発行 第172号 DDKだより

巻頭言:これまで通りではなく、大胆な発想を

石田 仁


原油の高騰から始まった小麦等の原材料の値上げ。みるみるうちに、中小企業や国民を直撃した。当組合取り扱いでガソリンの価格は昨年の1.4倍以上。車をあきらめる若者が続出しているのも肯ける。ガソリン高が食や住に影響し始めたのである。その結果、自動車の販売も頭打ちとなった。昨年来の建設・住宅産業の不況と並び、基幹産業の衰退ぶりが目立つ。
事務所に持ち込まれる相談も、売上・利益をどう上げるかというより、どのように会社を終息させるかの問題が多い。大企業との二重構造の下で、価格の転嫁がほとんど不可能だからである。しかも、取引から得られる付加価値は小さい。だから、今回のような大波がくれば、たちどころに資金繰りがおかしくなる。それでも、見通しを立てれば、銀行は貸してくれたから、政策としての「不況対策」の効き目が多少あった。だが、今回は違う。融資姿勢は極めて慎重である。裏を返せば、『価格転嫁ができても、利益が出せないような会社は市場から淘汰されるよ』と宣告されているのだろうか。
何か特徴がなければ、企業は生き残れないと言われている。何気なく、これまで通りに物やサービスの提供をし続けているだけでは、この大波は乗り越えられない。製品、商品、サービス、価格等の見直し。そしてより一層、小回りの効く人的サービスを磨くことに全社を挙げて取り組まなければならないと思う。
先日、NHKで、ビジネスマン向けに簡易ハンドズボンプレッサーが開発されている様子が報道された。少しどきっとした。というのは、私は10年以上前から、秘かに、電話ボックスのように街角にコインで使える簡易アイロン室でも作ったらヒットするのではないかと考えていたからだ。男性のズボンというのは折り目がすっきりしていた方が対外的にいい。しわくちゃでは見栄えが悪く、押しも弱くなる。形態はかなり違うが、「そういう物があったらなあ」と思いつく人が世の中にいると考えたらうれしくなった。
必要は発明の母。平時ではない。
経営者には大胆な発想が求められている。