会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2008年05月発行 第168号 DDKだより

金融・経営相談:本年4月以降契約のリース取引は原則売買処理に変わるので要注意

Q.最近リース取引に関する会計・税務の取り扱いが変わったと聞きましたが、具体的に教えてください。


今月の相談員
税理士 平石 共子


A.今までリース取引については、リース期間が耐用年数よりも短いなど一定の要件に該当する場合は「売買とみなされるリース取引」とされ、リース契約であっても耐用年数に応じて減価償却費として費用処理するケースがありました。しかし、一般的なリース契約(中途契約解除が禁止で、賃借人が資産の使用に伴う費用を負担し、契約終了時に所有権が賃借人に無償で移転するもの以外のもの)は、所有権移転外ファイナンス・リースと呼ばれ、毎月の支払リース料として経費処理しています。
 上場企業や大会社の場合は、会計上はリース契約の総額のうち決算期末で支払が残っている金額について、リース債務として決算書の注記事項とされていました。これは、リース取引が資産の賃貸借という形はとっているものの金融取引としての性格を有しているということがあげられます。実際に契約解除禁止ですから、債務はあるわけです。
 まず、リース会計基準が先にリース取引について、平成20年4月以後開始事業年度より注記による取り扱いを禁止し、売買処理を義務付けました。それに伴い税務も平成19年度改正により平成20年4月1日以後契約分から、売買処理することに変更となり、リース期間に応じて均等償却することになります。
具体的な処理を会計処理の仕訳で示すと以下のようになります。消費税の取り扱いが売買処理となることで大きく変わります。これからは、契約したときに一括で消費税の処理をすることになります。今までの契約分は従来どおりの処理で行います。
【従来】
毎月支払い時
リース料 10,000 現預金 10,500
仮払消費税等 500  
【変更後】
契約時
リース資産 1,000,000  リース債務1,050,000
仮払消費税等  50,000  
リース料支払時
リース債務   10,500 現預金   10,500
リース資産償却費10,000   リース資産 10,000
 例外として、会計上は重要性が乏しい少額リース、リース総額300万円以下あるいは、1年以内のリース契約のものは、従来どおりの会計処理で認められるのですが、税務上は例外なく売買取引とされるので、上記の処理が原則となります。