会報誌(DDKだより)

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2007年06月発行 第157号 DDKだより

巻頭言:一切、誰も物を言わないとどうなるのか?

石田 仁



先日、日経連の元専務理事、品川正治さんのお話を聞く機会があった。財界の大御所でありながら、経済は人のためにあり、平和に暮らすためという主張に新鮮な感銘を受けた。その後、とうとう国民投票法案が可決された。私はこれで「改憲」が間近にせまってくるようで落胆していたが、これから実施される「国民投票」こそ、勝負所という品川さんの言葉に励まされている。
悩ましい事が続く。昨年の7月と今年2月に日銀の利上げにより、市中金利が上がったが、同時に事業資金の貸出金利も上昇した。概ね1回の利上げで0.25%だから2回でほぼ0.5%の上昇理由となる。ただ、ここ数年の金融緩和、金余りの中で、銀行にとってお客への利上げ交渉は悩ましいこと。「約定ですから」の紋きりでは通用しないのである。この10年近く、預け入れ金利は限りなくゼロに近く、現在も1年定期は0.35%程度。他方大銀行は、税金で公的資金を投入され倒産を免れた上に、ゼロ金利政策で史上空前の利益を上げてきた。この収支につき、すでに、日銀は91年から04年の14年間で家計は331兆円の金利収入を失ったと報告している。他に企業の金利収入の喪失もある。となれば、借り手には充分な反論があるからだ。
6月から住民税が上がる。税源委譲の影響と行政はパンフレットを配り増税感を消すのにおおわらわ。政府や自治体の言うように3兆円の税源委譲をするだけなら、住民税と所得税の総額は変わらないであろう。国と地方のどちらで徴収するかの問題にすぎないからである。だが、同時期に個人住民税にかかる定率減税が廃止されるので、国民にとっては紛れもなく、悩ましい増税となる。
主権者は国民。いまこそ、真摯な投票行動が求められていると思う。