会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2006年12月発行 第151号 DDKだより

人事・労務相談:「残業代を減らすよい方法は」

Q. 当社では個人の裁量による仕事が多いため、社員が夜遅くまで仕事をしています。しかし、だらだらとしている印象が拭えません。残業代を増やさない何か良い方法はありませんか。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士  石田 仁


A.労働の成果が時間の長さに必ずしも比例しない業務があります。そのような業務にも時間外勤務の考え方を当てはめると、できない社員ほど残業代が多く発生し、会社としては困ってしまいます。
○1つの方法として、裁量労働によるみなし時間制の採用です。業務の手段、方法、時間配分等を社員に任せる業務をいいます。これは所定労働時間(例えば8時間)働いたとみなしてもよいし、通常10時間要しているならば10時間働いたとみなすこともできます(この場合、2時間分の時間外手当は支払わなくてはいけません)。
 裁量労働には二つの型があり、専門業務型としてはプロデューサーや士業等19業務が指定されています。企画業務型の対象は、次の条件にすべて該当する業務に限られます。
①会社レベルの運営に関する業務
②企画、立案、調査、分析の業務
③業務遂行の方法を大幅に社員の裁量に委ねる必要がある業務
④業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしない業務
○フレックスタイム制を採用すれば、対象者は全員でもよいし、部署を限定することもできます。
 1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、社員はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決めます。しかし、まったく社員の自由ではありません。会社は実労働時間を把握する義務があり、清算期間(普通は1ヶ月)を平均して1週間の労働時間が40時間(31日の月であれば40× =177時間)以内になるよう定めなければなりません。実際に働いた時間と清算期間における総労働時間に過不足が生じた場合、オーバー分は割増賃金の支払が義務付けられます。不足分については翌月の総労働時間に加算することもできます。
 導入すれば残業代が減るかどうかは一概には言えませんが、仕事にメリハリをつけ生活と業務の調和を図りながら、効率的に働く一つの方法にはなるでしょう。