会報誌(DDKだより)

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2004年12月発行 第127号 DDKだより

金融・経営相談:シティバンクが売った「定期預金」

Q.シティバンクに1千万円定期預金して、損させられた知人がいます。そんな定期預金があるのですか。


今月の相談員 
国民生活金融公庫出身 田口良一 


A.銀行が利益を増やすためには、預金を増やして融資を増やし、利鞘を稼ぐ、というやり方は今や時代遅れで、①ハイリスク(ハイリタン)の商品を売って②そのリスクを自分が抱え込まないで他人に分散することだ、これが米国流だ、といわれています。 シティバンクは、いろいろな違法行為をくりかえしたため、在日25店のうちプライベートバンク部門(4店)が営業許可取消になる予定(来年9月)です。 シティが日本で売った、問題の「定期預金」とは次のようなものです。 
①名称:プレミアムデポジット(日本名:為替相場条件付き定期預金) 
②預金条件:(例)元本100万円、期間1カ月、金利年率9% 
③満期時受取り条件 
(ア)満期時が円高(ドル安)のとき:元本を契約時のドルで支払う。
(注)受け取ったドルを円に両替すれば預金者の損となる。 
(イ)満期時が円安(ドル高)のとき:円建てで100万円支払う。   
(注)ドル高差益(少ないドルで100万円調達できる)はシティのもうけとなる。 
 この商品は、利息低下リスクをデリバティブで分散し、為替リスクはお客に転嫁するもので、どっちに転んでもシティは1円も損しないばかりか、為替のもうけは全部自分のものにする仕掛けです。 
 定期預金というイメージでリスク感をうすめて、投機商品を売り、取引きを自動的に継続させる契約も同時に結んだのです。 
 従業員は販売ノルマを課され、これを売らないと給料がもらえなかったといわれています。 
 程度の差はあるが、日本の信託銀行もシティにひきずられて、すべてこれと同じ原理の商品を売っています。銀行と投機会社の区別がなくなりつつあることを肝に銘じてください。