会報誌(DDKだより)

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2004年10月発行 第125号 DDKだより

巻頭言:今、何故「中小企業憲章」制定が必要か

河野 先



 去る7月15、16日に岡山で行われた中小企業家同友会全国協議会の第36回総会は、創立35周年の節目の年にあたり国に対し『中小企業憲章』の制定を求める運動を提起。これが「同友会運動の歴史の中で創造的に形成され、発展してきた理念にもとづく必然的な運動方向であることに確信を持ち、さらに持続可能な平和で豊かな未来社会の建設という全人類的課題に挑戦する気概を持って限りなく前進する」決意を宣言しました。 総会議案ではなぜ中小企業憲章を求めるかについて、次のように述べています。 
 「雇用や生産を大企業に集中するシステムは極めて非効率であることを歴史が証明しています。人々の需要というのは、極めて多様であって、経済が高度化するほど、すべての需要を満たすことは大企業だけでは不可能です。中小企業の役割は、資源の最適な配分に不可欠であるということです。さまざまなサイズやタイプの企業があり、公正な競争が担保されてはじめて、社会全体の効用が高まるのです。それは市場に任せるだけでは実現せず、ここに政府の本来の役割があると考えます。私たちは改めて中小企業の社会的役割の重要性を確認し、中小企業を中軸とした政策への転換を促すことが求められています」。 
 今日の中小企業の抱える大きな問題は、その存立条件の急速な悪化です。大企業は企業活動の軸足を海外に移し、雇用責任を放棄しその結果、地域経済は崩壊しています。これに対する中小企業政策は、長期に骨抜きにされ後退しています。 
 日本経済は閉塞状況に陥り、もはや従来型の経済成長は望むことはできません。「量の時代」から「質の時代」への転換を遂げ、国民経済・地域経済を支える中小企業の社会的役割にふさわしい位置づけが、日本経済の真の再生の道です。従って、この憲章制定への取り組みは中小企業のエゴではなく、国民を主人公とした国の経済のあり方を問う、志の高い大運動です。