会報誌(DDKだより)

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2004年03月発行 第118号 DDKだより

金融・経営相談:信用金庫の半分はつぶれる?

Q.信用金庫の半数がつぶされる、という噂を聞きました。根拠のある話ですか。


今月の相談員 
国民生活金融公庫出身 田口良一 



A. 今年1月5日、フィッチ社という欧米系の格付会社が、全信金に関して「信金財務力格付」を公表したのが噂の火元です。全国314信金のうち、153信金がNマークとされたのです。Nマークとはダメマークのことです。このNの上位に「1つ星」「2つ星」「3つ星」が格付けられるのです。  
 東京都下25信金で、Nマークを免れたのはわずか6信金だけ。千葉県、埼玉県では全部Nマークにされています。  
 フィッチ社による一撃は、米国のイラク爆撃のような猛烈さでした。公表初日だけでも18万8千件のアクセスがあったそうです。
 ところで、この財務力格付というのは「信用格付」のためのサブ格付でしかなく、しかも日本の銀行の財務格付は低くても信用格付は高くなるシステムです。従って、従来の格付発表はこの両者を一体としたものだったのです。信金に関する今回のやり方は信用格付を欠いたもので信じがたいほど乱暴な仕打ちです。  
 フィッチ社はなぜこのような挙に出たのでしょうか。度はずれたマーケッティング戦略だとする説があります。例えば、東京の滝野川信金は、その後、格付見直しを依頼した結果、Nマークから「1つ星」へ格上げに成功しました。恫喝による顧客拡大戦略というべきです。  
 信金業界から組織的反論が聞かれないことが気懸かりです。なだれをうってフィッチ社の軍門に降るのでは、との心配も残ります。  
 しかし、発表の動機はそれだけとは思えません。来年4月はペイオフ全面解禁の3度目の期限です。地域金融機関のオーバーバンキング解消(金融機関統廃合)の期限でもあります。この目標に向かっての国際的戦略の影を強く感じます。  
 そもそも格付会社は金融庁長官の指定を受けて、日本で営業できる会社です。日本政府は風説を防止するという公益の観点からフィッチ社の指定見直しをするべきです。信金業界は毅然として、そのことを求めるべきです。