会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

1997年09月発行 第40号 DDKだより

巻頭言:小口・協同金融の灯を守るために

理事  亀井 賢伍

     商工中金出身
元第一経理経営相談室長
 
 



 当組合の金融事業は関係者から注目され、利用者からも大変喜ばれております。DDKと言えば金融を連想されるほど、象徴的な中核事業となっています。
 本格的に金融事業(年末・盆資金の転貸)を始めて10年余り経ちますが、延滞比率は1年前まで低い水準で推移してきました。
 その鍵は協同金融、つまり仲間同士の助け合いという協同の理念に基づいた制度・運営にあったのです。
 甚だ残念なことに、昨年の盆と年末資金に協同金融の精神と無縁・異質の申込みが混入し、延滞比率が少し高まりました。市場競争に敗退し、万策つき、結果として債務不履行に陥ることはあり得ることです。問題は、経営者のインテグリティ(誠実さ)です。これらの企業(経営者)の組合への対応は、最後まで連帯感にもとる心外なものでした。
 ご承知のとおり、貸出金の原資は全て銀行からの借入金に依存しています。転貸先からの回収が遅滞しても、組合は銀行に対し約定通り返済しております。組合の財務状態・資金繰状況は良好で、今後の返済についても全く懸念はありません。しかし、金融ビッグバンに備え、融資姿勢を一段とシビアにしている銀行が、延滞比率の一時的上昇に過剰反応してバックファイナンスに難色を示すと、金融事業の運営に支障をきたします。
 延滞比率を早期に是正することが求められます。
 いくつかの是正策をたてましたが、基本的な一点にしぼって申し述べます。
 それは協同金融の原点にたち帰り“仲間うち”の、“顔の見える” 金融に軸足を据え直すことです。経営者の人物・志と、推薦者のスタンスが大きなポイントとなるでしょう。
 今年の年末資金から、申込資格に基準を設けるなど、取扱要領を改訂したのは、以上のような背景・事情によるものです。
 小口・協同金融の灯を守るため、敢えて経過を率直に開示し、皆さまのご理解とご協力をお願いする次第です。