会報誌(DDKだより)

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2003年06月発行 第109号 DDKだより

金融・経営相談:平成15年度税制改正にみる消費税改正とは

Q.今年の税制改正で消費税の改正があったと聞きました。あまり当社には関係がないようですが、実務的な影響はありますか?


今月の相談員 
税理士 平石 共子 


A.平成15年度の税制改正は先行減税、初年度は1.5兆円の減税とし、多年度においては税収中立といっています。つまり、増税は後からやってくるというものです。消費税の改正は後からやってくる部類の方です。 
 しかも日本国中の会社、消費者全部を巻き込むような大掛かりなものではないので、反対の声も取り上げられないままに国会を通過してしまいました。中小零細企業にとっては大打撃となることが予想されます。具体的な改正内容は次の通りです。 
①免税点の適用上限を1,000万円(現行は3,000万円)に引き下げ。 
②簡易課税制度の適用上限を5,000万円(現行2億円)に引き下げ。 
③直前の課税期間の年税額(地方税込み) が6,000万円を越える事業者は中間申告を毎月行なうとともに、原則として前年度確定額の12分の1ずつ申告納付する。 
④課税事業者が消費者に対して取引をする場合において、あらかじめその取引価格を表示するときは、その商品や役務に係る消費税額等を含めた価格を表示しなければならない。 これらの改正は平成16年4月1日以降に開始する事業年度(④は同日、①の個人事業者は平成17年分)から適用になります。 
 ①と②は益税論(消費者から預かった消費税がきちんと納税されていない)、③は消費者からの多額な預り金は早く国に納めるべき、④の総額表示は消費者の便宜を図って、という論理。しかし、法的には消費税は預り金ではないし、消費者は消費税抜きの金額かどうかの認識は十分にあります(値札やメニューを見て消費税と合わせていくらになるか、わかって支払いをしていますよね)。これは将来の消費税率アップの地ならし、条件整備にほかなりません。 
 消費税が私たちの国にとって真に適正な税金なのか、改めて考える必要があります。