会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2003年01月発行 第104号 DDKだより

巻頭言:自灯明の時代 

理事長  河原 八洋      
     (株)ローヤルエンジニアリング 代表取締役
     東京中小企業家同友会理事

  
 


 皆様あけましておめでとうございます。
 この10年、厳しい年明けの連続ですが、皆様方におかれましては、この困難を乗り越えるべく、ご活躍のこととお慶び申し上げます。
 当組合も昨年暮には、1都1道2府23県に渡り組合員数が1,000社を超えることが出来ました。まさに、組合に魅力があり皆様のお役に立っているということでうれしい事ですが、反面、心を引き締め事業に当らなければと考えております。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 さて昨年11月に池袋の書店で瀬戸内寂聴さんが書かれた『釈迦』の上梓記念サイン会がありました。そこで「自灯明」という釈迦の言葉を聞きました。お釈迦様を頼りにして生きてきた弟子たちが、「お釈迦様が亡くなられた後、誰を頼りにして生きていったらよいか?」と尋ねたところ、「自灯明」と答えられたくだりです。「自分を信じて、自分自身を灯明として生きて行け」という意味だそうです。
 時代はまさに「自灯明の時代」です。
 国家や銀行、業界は頼りになりません。国民を守るべき国家が、自国民数十人を拉致されても気付くどころか、取り締まるべき警察や、刑務官が犯罪を犯す。元国税庁のエリート官僚は退官後「自分は特別だ」と言ってお金を取り、脱税を指導する。小泉首相は鉄仮面のような顔でスローガンばかり叫び、国会議員は助成金目当てに右往左往する。この人たちは、票とお金の中で行動し、ローンを抱え苦しんでいるサラリーマンや、リストラが会社を救うという『正義』の犠牲にされている女性や中高年のことなど考えてもみないのでしょう。経済回復など望むべくもありません。
 私たち中小企業の経営者は、それなりの責任感と使命感を持って、今までもやってきました。これからも、この激動に臆することなく、自分と家族、そしてパートナーとしての社員を信じて、選んだ道を、自らの灯明を赤々と燃やしながら進んでいこうではありませんか。
 今年が皆様と皆様のご家族にとってよいお年となることをご祈念申し上げます。