会報誌(DDKだより)

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2002年09月発行 第100号 DDKだより

金融・経営相談:「不良債権」に区分されないための留意点

現在、信金に借入金があり正常に取引しています。
 もし取引銀行が破たんし、不良債権に区分されているとRCC(整理回収機構)(注)に一方的に売却(譲渡)され、事業存続が不可能になってしまうとよく耳にします。
 新規の事業が軌道に乗ってきている大事な時期だけに、不良債権に区分されないための注意点と、銀行破たん時の対応をお聞かせください。
  




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今月の相談員 
  伊藤 勝  
     中小企業診断士 
     中小企業組合士 


 銀行破たんの際、借入金が正常債権と判定されれば受け皿銀行に引き継がれますので、一応心配はありません。一方、不良債権に区分され、RCCに売却されると強引に回収を急ぐため企業が倒産に追込まれる事例が多発しています。RCC側は「回収は人間の尊厳を優先させ企業再生の立場、任意回収が基本で、一方的なやり方はしない」と一応否定しています。
 「返済条件を緩和すれば、事業存続が可能な先」「景気回復により、業績が回復する先」をも不良債権と見做し、RCC送りとすることは、中小企業庁でさえ批判的な中小企業の実態を無視した「金融検査マニュアル」に起因しています。
 しかし、正常な銀行取引を継続し不本意なRCCへの売却を回避するためには、日常的に以下の経営努力がポイントとなります。
 不良債権に区分されないための主な留意点
 1. 借入れ条件履行に当たって、①3ヶ月以上の返済遅延をしないこと、②銀行と合意している後記2以外の条件変更(元金減額返済等)は、約定通り実行に努めること、です。
 2.「金利減免」「金利の支払い猶予」「元本の支払い猶予」があると、不良債権に区分される恐れが大なので注意を要します。
 3.現状、債務超過・赤字の状態であっても、経営改善計画を銀行に提示し、その実行に努めることです。
 4.技術力、販売力、成長性も銀行判定の際に加味されるので、貴社の強みを常にアピールしておくことです。
 取引銀行の複数利用を
 貴社の場合、新事業が軌道に乗りつつあるので取引銀行を複数行にし、特に政府系金融機関の利用を検討されるとよいと思います。

 銀行破たん時の対応
 直ちに銀行に出向き、自社の区分を確認し納得できない判定や今後の処理に対しては異議を述べ、善後策を検討することです。
  
 



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