会報誌(DDKだより)

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2001年09月発行 第88号 DDKだより

巻頭言:小泉内閣の経済政策は平成恐慌への道を進む

前顧問  岩井 義照       
   祝経営研究所所長

 

 小泉首相は「痛みを伴う構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」と主張します。
 その「痛み」の内容が明らかになって来ました。「全ての銀行の不良債権の法的処理を2年以内に終える」この不良債権の額を既に金融庁が発表しています。全部で34兆円、うち中小企業分は約23兆円です。仮に1社あたり平均1億円とすると(信金・信組まで含めた額ですから、多すぎるかも知れませんが)23万社です。これだけの会社が、2年以内に法的処理されることとなります。
 いまこの不況の中でも倒産は年間2万社です。23万社を潰すとは狂気の沙汰ではありませんか。信じがたいことですが、これが政府のやろうとしていることです。要は中小企業の実態を役人も政治家も学者も全く知らないのです。さすがに最近自民党内にも一部動揺が広まってきています。しかし主流は、「国際公約であり、また米・英でも不良金融機関(不良債権処理の最終目的は不良銀行の処理)を処理したことが景気回復につながった」とする観念論が主流で、現場では金融庁の命令により、実際の処理がどんどん進められています。
 いま長年の不況により、中小金融機関も中小企業も体力を消耗しつくしています。数十万社もの法的処理を行えば日本経済は間違いなく壊滅的打撃を受け、平成恐慌への道を進みます。アメリカは自国の経済を守るため「京都議定書」を拒否しつづけています。衆知のとおりこの不良債権処理(実際の狙いは不良金融機関の整理)はアメリカの要求で始まったことです。日本の金融機関の不良債権を処理させ、不良金融機関を潰し、支配下に置くことはアメリカの利益だからです。証券・生保はすでにほぼアメリカの支配下にあり、残る最大の牙城は日本の銀行です。詳しくはDDKで販売している私の著書「頑張れ、生き抜け中小企業」(定価100円)をぜひお読み下さい。