会報誌(DDKだより)

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2001年05月発行 第84号 DDKだより

金融・経営相談:営業マンの残業手当について

当社の営業マンはその業務の性質から直行直帰も多く、正確に勤務時間が把握できないので残業代の替わりに営業手当を支給しています。問題はありませんか。 
  




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今月の相談員 
  石田 仁  
     経営コンサルタント 
     社会保険労務士 


 結論として、実際の残業時間と遜色ない営業手当であれば問題はありません。労使関係は慣行を重視し、悪質違法性のある場合に法令違反として是正措置をとるからです。以下留意点をあげてみましょう。
①残業時間と営業手当が相当すること
 営業活動は外勤でかなり自由になされますから、管理者の指揮が及ばないし、所定の勤務時間の範囲内におさまらないこともあります。労働基準法(以下労基法という)はこういう場合の勤務時間の算定の仕方を示しています(第38条の2第1項)。すなわち外勤で勤務時間を計算しがたい場合は所定勤務時間、働いたとみなす制度です。しかしこの「みなし」では、所定勤務時間(仮に8時間)を働いたとみなすだけで、時間外を予定していません。営業マンにとっては不満だろうし、会社としても不十分です。実態に即して例えば「10時間働いた」とみなす規定を作る必要があります(同条但し書き)。こうすれば勤務日数20日として1日2時間のオーバータイムで残業は40時間。これがほぼ営業手当にみあえばいい訳です。なお、1ヵ月の上限基準は45時間です。
②就業規則ないしは協定を結ぶこと
 残業代や手当の支給は重要な労働条件です。争いの無いよう口頭ではなく就業規則や社員代表との協定を締結しておくべきです。
 就業規則では次のように明記すればよいでしょう。
 「営業社員は外勤や出張等により会社外で勤務し勤務時間を算定するのが難しいので営業業務遂行に通常必要な時間(10時間)勤務したものとみなします。
 ②第1項の時間外手当相当分については営業手当として支給します。」
 また、協定(労基法第38条の2第2項)を締結すれば一層明確です。
   


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