会報誌(DDKだより)

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2001年04月発行 第83号 DDKだより

巻頭言:話す、聞く、まとめること

専務理事  石田 仁       
    経営コンサルタント・社会保険労務士  
    東京中小企業家同友会理事  
    同 専門家グループ部会幹事長  
    東京都労働経済局 労働講座講師  
    著書『就業規則で会社がかわる』  
    (労働旬報社)ほか論文多数  

  
 


 DDK新入社員研修が無事終了。96年の第一回以来6年の経験を積んできました。
 わずか、1泊2日の研修が彼等の将来を決定してしまうとは考えていませんが、働き甲斐を持つ一つの動機になったのではないかと自負しています。
 少しばかり、研修の内容をご紹介します。
 名物は1分間スピーチ。例えば、あるテーマについて、研修生は自主的に手を挙げ、参加者の前でスピーチをするのです。とても単純な訓練ですが、大きな意味があります。まず自分の殻を破らなければ挙手もできないし、スピーチもできません。もじもじしててはチャンスを逃がしてしまうからです。人前で簡潔な話ができるようにとプログラムされた訓練で、ビジネスではとても重要な要素です。
 今一つはブレーンストーミング(BSと呼ぶ)による問題解決手法の訓練です。
 講師の「求められる利益感覚とは」の講義を受けた後、「利益を出すにはどうしたらいいのか」をテーマに小グループで討論します。初めは、互いの批判を禁止し、自由奔放に意見を出すよう指導します。すると①リストラ②給料を下げる③報奨金制度の導入④研究開発を急ぐ⑤新鋭機の購入⑥裏紙コピーの実行⑦広告宣伝の強化⑧工場の新設⑨新製品を作る⑩社内旅行の中止等々たくさの意見が模造紙に書き出されます。次に「重要だと考えられる4項目にまとめなさい」との指示。ここで初めて参加者は他人の意見や批判を踏まえて、具体的な事実の羅列から、重要な事項を抽象化する作業に入る訳です。出来不出来はありますが、概ね1.経費節減(①②⑥⑩)、2.設備投資(⑤⑧)、3.新製品の開発(④⑨)、4.営業強化(③⑦)、のようなまとめができます。4つのジャンルにまとめ上げるには相当な訓練と知識が必要ですが、若者らしく、カンカンガクガクの感動的な共同作業です。このまとめる力を繰り返し経験し、問題解決に迫ることができます。
 以上、一端をご紹介しましたが、激変の時代、彼等に寄せられる企業の期待は並み大抵ではありません。押し潰されず、自分を信じて逞しく成長してくれる事を願っています。